2014 Fiscal Year Research-status Report
精巣幹細胞分化における核内形態変化およびエピジェネティック、スイッチの役割
Project/Area Number |
26860137
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
富澤 信一 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00704628)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生殖細胞 / 幹細胞 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マウスの精子のもととなる精巣幹細胞の維持や分化を制御する分子機構を解明することを目的としている。以前の研究において、我々は精巣幹細胞分化時にヒストン修飾をはじめとするエピジェネティックな因子が大きく変化することを免疫染色により明らかにした(エピジェネティック スイッチ)。本研究ではさらに精巣幹細胞分化時に重要な役割を有することが示唆されたヒストン修飾状態を全ゲノムレベルで同定するために、生殖幹細胞および前駆細胞を用いたChIP-seqを実施することを計画した。そのためには成体マウスの精巣より採取する少数の生殖細胞を用いて解析する必要があるため、まず少量スケールのChIP-seqの実験系の構築を検討した。その結果、セルソーターを用いて一度に採取できる生殖細胞数(約数万個)からH3K4me3, H3K27me3, H3K9me2等のヒストン修飾のChIP-seqが行える実験系を確立することができた。この実験系を用い、これまでに成体マウスより採取した生殖幹細胞、前駆細胞からの各種ヒストン修飾のChIP-seqを実施した。一方で同様の細胞におけるRNA-seqも実施したことで、ヒストン修飾の変化と遺伝子発現の状態の相関について解析を行っているところである。今後生殖幹細胞分化時に変化するヒストン修飾状態が遺伝子発現に及ぼす影響を同定することを中心に解析を進め、幹細胞分化との関連について明らかにしていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの所、ゲノム全体的なヒストン修飾状態を少数の生殖細胞を用いて決定するための少量スケールのChIP-seqの実験系を確立することができた。さらに、精巣の幹細胞と前駆細胞において、複数のヒストン修飾について既にChIP-seqのデータを得ることができており、データ解析へと進んでいるため、進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでにChIP-seqにより取得した全ゲノムレベルのヒストン修飾状態のデータをもとに、2年目は実際に精巣幹細胞分化に深く関連すると思われるヒストン修飾の種類やゲノム上の位置を同定し、分化における機能的な重要性を明らかにしていく。当初の研究計画ではDNAのヒドロキシメチル化解析を予定していたが、近年のヒストン修飾に関する知見から特にエンハンサー等の遺伝子発現制御領域のゲノム修飾が細胞の性質を決定付ける上で重要であることが明らかになってきたため、エンハンサー関連のヒストン修飾解析を優先事項として実施する。
|