2016 Fiscal Year Research-status Report
脂質メディエーターのヒアルロン酸合成促進作用の機序解明と細胞老化についての検討
Project/Area Number |
26860144
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
後藤 真里 お茶の水女子大学, ヒューマンライフイノベーション研究所, 特任准教授 (80467050)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 線維芽細胞 / 老化 / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は環状ホスファチジン酸が皮膚線維芽細胞や軟骨細胞に対し、ヒアルロン酸産生を促進する作用を持つことを発見した。本研究課題では、その作用機序を明らかにすることと、老化によりどのようにヒアルロン酸合成調節が変化しているのかを解析することを目的とした。 1年目の研究成果として、環状ホスファチジン酸がLPA受容体を介してヒアルロン酸合成酵素の発現を増加させていることを報告している。そこで、本年度は、様々な年齢のドナーから採取された皮膚線維芽細胞の培養細胞を用いて、老化により皮膚線維芽細胞でヒアルロン酸合成がどのように変化しているのかを調べた。その結果、皮膚のヒアルロン酸量は老化に伴い減少することが知られていたが、培養皮膚線維芽細胞においては、ヒアルロン酸合成酵素の発現量やヒアルロン酸産生量は老化に伴い増加していることが示された。これは、繊維芽細胞が持つヒアルロン酸合成能は老化により失われないことを示す。また、ヒアルロン酸分解酵素の発現についても調べた結果、分解酵素の発現量は老化に伴い変化しないことが示された。これらの結果から、老化に伴い皮膚で減少するヒアルロン酸の量は、皮膚線維芽細胞自体の変化ではなく、周囲の環境の変化に伴って引き起こされると考えられた。 次に、環状ホスファチジン酸は、皮膚線維芽細胞のヒアルロン酸合成を促進することがわかっているが、その作用は老化した細胞においても効果があるかどうかについて上記の実験で用いた皮膚線維芽細胞を用いて検証を行った。その結果、環状ホスファチジン酸は老化した皮膚線維芽細胞に対してもヒアルロン酸合成酵素の発現を促進させ、ヒアルロン酸量を増加させることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一時的に研究の中断があったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に準じて、遅れた分の実験を遂行する。
|
Causes of Carryover |
研究を一時中断したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画書に準じて研究を進める。
|
Research Products
(6 results)