2014 Fiscal Year Research-status Report
コリン作動性ニューロンにおける新たなコリン代謝経路の解明
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26860150
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 俊行 日本医科大学, 医学部, 助教 (10643140)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コリン / P2X2 / コリン作動性アマクリン細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
下記2項目の検討を行った。 1、単離神経細胞標本を用いたP2X2型プリン受容体のコリン透過性の検討 網膜コリン作動性アマクリン細胞のみにGFPが発現する遺伝子改変マウスから、単離神経細胞標本を作製し実験に用いた。蛍光顕微鏡下でGFP陽性細胞として同定されるコリン作動性アマクリン細胞にホールセルパッチクランプ法を適用し、P2X2型プリン受容体をコリンが透過するか検討した。まず、薬理学的にコリン電流の活性化に関与する受容体サブタイプがP2X2型プリン受容体であることを確認した。また細胞外液中のコリン濃度を変化させた時の逆転電位の変化より、P2X2型プリン受容体がコリン透過性を有することを確認した。 2、コリントランスポーター及びP2X2型プリン受容体のコリン透過性の比較 先行実験より、コリントランスポーターの発現量は、OFF型コリン作動性アマクリン細胞で少なく、ON型コリン作動性アマクリン細胞で多いことが明らかとなっていた。そのため、形態学的な位置情報が保持されている網膜薄切切片標本にホールセルパッチクランプ法を適用し、P2X2型プリン受容体の発現量が多いOFF型コリン作動性アマクリン細胞と、P2X2型プリン受容体の発現量が少ないON型コリン作動性アマクリン細胞の間で、P2X2型プリン受容体を介して細胞内に流入するコリン電流の量に差がみられるかどうかを検討した。すると、OFF型コリン作動性アマクリン細胞ではコリン電流がみられたが、ON型コリン作動性アマクリン細胞ではコリン電流はほとんど認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記した検討が概ね終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
主に以下2項目に検討を行う。 1、培養細胞を用いたP2X2型プリン受容体のコリン透過性の検討 生体の細胞においては、複数の受容体が発現していることから、P2X2型プリン受容体のみが発現している条件にてP2X2型プリン受容体がコリン透過性を有することを確認する。P2X2型プリン受容体はHEK293細胞に遺伝子導入にて発現させ、GFPをレポーターとし、ホールセルパッチクランプ法にてP2X2型プリン受容体のコリン透過性を確認する。また、この細胞を用いて次の検討も実施する。 2、P2X2型プリン受容体を介したコリン取り込み及びアセチルコリン合成の検討 1で検討したHEK293細胞を用い、ATPを作用させた時のP2X2型プリン受容体を介したコリンの細胞内への流入量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて検討する。また、HEK293細胞は、アセチルコリンの合成をわずかながらに行っていることが知られていることから、ATPの有無により合成されるアセチルコリンの量に変化がみられるかどうかを、コリンと同様にHPLCにて検討を加える。
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Causes of Carryover |
マニピュレーターについて、予定よりも安価のものを購入したため、次年度への繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イメージング用の機器の購入を検討している。 細胞の薬物に対する応答を網羅的に観察することができるため、スクリーニングのために使用する予定である。
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Research Products
(6 results)