2015 Fiscal Year Research-status Report
低浸透圧条件下におけるバソプレシンの分泌抑制メカニズムの解明
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26860153
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
沼田 かお理 (佐藤かお理) 福岡大学, 医学部, 特別研究員 (60614196)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低浸透圧 / アニオンチャネル / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットAVPニューロンの低浸透圧条件下で容積調節能に重要な役割を担う容積感受性外向整流性Cl- チャネル(VSOR)について、2014年、LRRC8AがVSOR活性の重要な因子である事が報告され、さらに最近、VSORがアシドーシス条件下で活性化する酸感受性外向整流性Cl- チャネル(ASOR)と同一の分子実体ではないかという説を唱える研究者も見受けられてきた。そこで、今後、低浸透圧条件下におけるAVPの抑制分泌メカニズムを研究するに当たり、VSORのASOR、LRRC8ファミリーに対する関与を明らかにするため、ヒト子宮頸癌細胞由来のHeLa細胞を用いて実験を行った。ASORの阻害剤として知られているDIDS、フロレチンは、VSORの阻害剤としても広く知られており、この事がASOR=VSOR説と唱える理由の1つになっていた。しかし、本研究により、VSORの阻害剤であるDCPIB、ATP、NPPB、カルベノキソロン、PPADS、メフロキニン、タモキシフェン、ガドリニウムの6種の試薬がASORには効果がないことが明らかになった。VSORの阻害剤であるスラミン、DIOA、アラキドン酸、ニフルミン酸は、ASORにも効くことが明らかになったが、ASORにおける抑制効果は、VSORにおける抑制効果の10~100倍も高いことが明らかになった。さらに、LRRC8ファミリーのVSOR、ASORそれぞれの関与について、VSORにおいては、LRRC8Aをノックダウンすると電流が抑制されるが、8B~8Eにおいてはノックダウンしてもなんら影響がなく、ASORにおいては、8A~8Eのすべてにおいてノックダウンしても影響がないという結果が得られた。これらの結果より、ASOR≠VSORである事が結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4月から研究室が変わり、実験動物使用のための手続きに時間がかかってしまったため、動物を用いた当初の計画が遅延してしてしまった。しかし、その代わりに、今後の実験の鍵となる極めて重要な知見を培養細胞を用いた実験から得ることができた。よって、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに研究を行う予定である。また、平成27年度に行う予定であり遅延していた内容についても今年度の研究計画と並行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
4月から研究室が変わったため、それに伴う実験動物等の新規使用手続きに時間が予想外に長くかかってしまった。そのため、昨年度に行う予定であった動物実験が遅れてしまったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、当初の実験計画と並行して昨年度に遅れてしまった実験動物を用いた研究を行う予定である。未使用額は、昨年度に行う予定であった実験動物を用いた研究のための試薬代や動物購入費を中心に使用したい。
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Research Products
(5 results)