2014 Fiscal Year Research-status Report
セルフリー解析系によるトランスポーターからmTORへのアミノ酸情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
26860171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 傑 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50511846)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル情報伝達 / トランスポーター / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アミノ酸トランスポーターによって取り込まれたアミノ酸がmTORの活性化を促進する分子機構を解明することである。生体において重要な栄養素であるアミノ酸は、細胞膜に局在するアミノ酸トランスポーターによって細胞内へと取り込まれる。細胞内のmTOR (mammalian/mechanistic target of rapamycin) はアミノ酸供給量を感知して遺伝子の転写や翻訳を制御しているが、そのアミノ酸感知機構は不明である。アミノ酸によるmTOR活性化機構を解析するには、アミノ酸依存的なmTOR活性の促進を再現するセルフリー実験系を確立する必要がある。そこで平成26年度は、アミノ酸トランスポーターからmTORまでのアミノ酸情報伝達に必要な新因子の探索およびその分子機構の解析を行うための、mTOR活性を観察するセルフリー実験系の構築を目指した。 現在のモデルでは、mTORはリソソーム上に存在する様々な因子群と相互作用することで活性化され、その下流因子をリン酸化してタンパク質合成等を促進するとされている。そこで、まずはmTOR活性をもつリソソーム画分を調製するための詳細な条件検討を行い、高いmTOR活性を持つリソソーム画分を培養細胞から単離することに成功した。また、この画分にゲルろ過カラムによって分画した細胞質画分を加えると、一部の画分を加えた際にmTOR活性が促進または抑制されるという結果が得られた。この結果より、今回確立したセルフリーの実験系は、外部から物質を添加することによってmTOR活性の変化を観察できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、ほぼ当初の計画通りに研究が進んでいる。mTORの活性を観察するセルフリーの実験系を確立できたことで、アミノ酸によるmTOR活性化機構を解析するための準備が整った。この実験系において、細胞質画分を加えることでmTOR活性の促進や抑制等の変化を観察できたことも計画通りで順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、26年度に確立したセルフリー実験系を用いて、細胞質画分のさらなる分画をおこなってアミノ酸依存的にmTORを活性化するために必要な因子の同定に向けて研究を進めて行く。生化学的な解析によって絞られた候補因子に関して、培養細胞を用いて各々siRNAによる遺伝子ノックダウンを行い、アミノ酸依存的にmTOR活性化を促進する因子を遺伝学的手法により同定する予定である。また同定された因子の機能解析、さらに、同定された因子と共精製される分子の探索などを行い、細胞膜に局在するアミノ酸トランスポーターからmTORへのアミノ酸情報伝達機構の全容解明へと近づけて行く予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品のキャンペーン等をうまく利用し、物品費を予定より安く抑えて実験を進めることができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を滞りなく遂行できるよう、より多くの実験を行うためのキット等の購入費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)