2014 Fiscal Year Research-status Report
「血液細胞と血液脳関門構成細胞」のクロストークを標的とした脳微小出血病態の解明
Project/Area Number |
26860177
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60399186)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 血液脳関門 / CRP / IL-18 / 脳血管内皮細胞 / CD36 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳微小出血の発症機序として(1)赤血球がなぜ脳血管内皮細胞に接着するのか(2)赤血球と脳血管内皮細胞の接着が血液脳関門の破綻を惹起し、赤血球の血管外滲出がおこるのかを明らかにすることを目標とする。 脳微小出血数と血中濃度が相関することが報告されたCRP、IL-18およびIL-6、また、炎症性サイトカインであるIL-1βおよびTNF-αをそれぞれ脳血管内皮細胞に処理し、これらの赤血球接着分子RAGE、CD36とICAM-1およびVCAM-1の脳血管内皮細胞上での発現量の変動を検討した。CRP、IL-18、IL-6はこれらの血球接着分子発現量に影響をおよぼさなかった。一方でIL-1βおよびTNF-αはともに、濃度および時間依存的にCD36、ICAM-1およびVCAM-1の発現量を増大させた。このCD36、ICAM-1およびVCAM-1の発現量増加に関わる細胞内情報伝達経路を調べると、NF-kBおよびp38 MAPK経路の活性化が関与することがわかった。また、CRPおよびIL-18の血液脳関門への作用を、脳血管内皮細胞を用いたin vitro血液脳関門モデルを作成し検討した。CRP、IL-18、IL-6は濃度依存的に血液脳関門の経内皮電気抵抗値を上昇させ、sodium fluorescein透過を抑制したことから、これらが血液脳関門を直接的に破綻させて脳微小出血を惹き起こすわけではないと考えられた。従って、臨床的に脳微小出血のリスクファクターとされるCRP、IL-18、IL-6は今回検討した赤血球接着分子の発現増加および血液脳関門障害とは独立した機構で脳微小出血を惹き起こす可能性が示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に臨床での脳微小出血のリスクファクターであるCRP、IL-18、IL-6の脳血管内皮細胞上の赤血球接着分子CD36やRAGEの発現量および脳血管内皮細胞のバリア機能への影響を明らかにすることができたので、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は脳微小出血のリスクファクターとされる生理活性物質の脳血管内皮細胞上での血球接着分子の発現と血液脳関門機能の変動について検討してきたので、次年度は実際に赤血球―脳血管内皮細胞または脳血管内皮細胞―脳ペリサイト間のそれぞれの細胞間相互作用が血液脳関門機能にどのような影響をおよぼすかを明らかにしていく。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた学会の参加を取りやめたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費へ充当する。
|