2014 Fiscal Year Research-status Report
非Edg型LPA受容体の胎生期血管形成における機能解析
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26860182
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
安田 大恭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70594951)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管形成異常 / 胎生致死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体を介した胎生期血管形成の分子機構の解明であり、本研究を通して、血管研究の進展と血管形成関連病態の治療につながる新たな知見の提供を目指している。Gタンパク質G13の血管内皮細胞特異的欠損マウスやLPA合成酵素オートタキシンの欠損マウスは全て胎生致死となるが、血管内皮細胞においてG13に共役して血管形成を制御するGPCRは未だ同定されていない。 我々はG12/13に主に共役する非Edg型LPA受容体(LPA4, 5, 6)に着目し、各欠損マウスの交配により得られた胎仔を解析した。その結果、LPA4/LPA6二重欠損マウスは胎生9.5-10.5日に血管形成不全と心嚢液の貯留を示し、胎生11.5日までに全てが胎生致死となることを明らかにした。また、LPA4/LPA6二重欠損マウスはCD31抗体によるホールマウント染色により頭部領域の血管形成不良が認められ、さらに体軸形成の異常や背部大動脈の拡張を観察した。LPA4/LPA6二重欠損マウスの卵黄嚢も著しい血管形成不良を示した。なお、LPA4/LPA5二重欠損マウスやLPA5/LPA6二重欠損マウスは正常に出生し生育した。これらの知見は、LPA4とLPA6が協調して胎生期における血管形成に重要な役割を果たすことを強く示唆している。ヒトLPA4とLPA6の胎生期血管形成における役割を解明するために、ヒト臍帯静脈内皮細胞等を用いてLPA4やLPA6の下流で発現制御される幾つかの血管形成調節因子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していたLPA受容体欠損マウスの胎生期の解析は順調に進み、LPA4とLPA6が胎生期の血管形成に重要な役割を担うことを明らかにすることができた。血管内皮細胞特異的なLPA受容体欠損マウスの作製も進んでおり、胎生期の血管形成における役割を今後詳細に解析する予定である。血管内皮細胞にLPA受容体をノックダウンする評価系も構築することができ、既にLPA4とLPA6が寄与する幾つかの血管形成調節因子を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo解析ではタモキシフェン投与により新生仔期に血管内皮細胞特異的にLPA受容体を欠損させるマウスを用いて、LPA4/LPA6二重欠損マウスの網膜血管新生の程度を解析する。 in vitro解析ではLPA4やLPA6がどのようなシグナル伝達経路で血管形成調節因子の発現を制御しているかを明らかにする。また、血管内皮細胞の管腔形成、増殖、遊走の機能におけるLPA4やLPA6の役割を解析する。
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Causes of Carryover |
消耗品購入の際に端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の使用額に合算して使用する。
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Research Products
(1 results)