2014 Fiscal Year Research-status Report
解毒酵素グリオキザレースIの新規転写発現調節機構の解明
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26860187
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原島 愛 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 特任助教 (50705522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの予備実験でglyoxalase1(GLO1)遺伝子プロモーター領域近傍に新規遺伝子多型が存在することを発見した。この新規遺伝子多型が、GLO1の転写を著しく亢進させることを見いだした。このメカニズムを明らかにするために、まず、この遺伝子多型とGLO1発現との相関を検討した。具体的には、末梢血から白血球細胞を採取し、ゲノムDNA、mRNA、タンパク質を抽出し検討を行った。その結果、予想通りGLO1遺伝子多型とGLO1 mRNA発現、GLO1酵素活性は相関していた。 また、そのGLO1遺伝子多型のDNAに特異的に結合するタンパク質を同定し、特異抗体を用いたウエスタンブロット法で確認した。さらに、見いだされた当該タンパク質によるGLO1遺伝子の転写活性への影響を検討するためsiRNAを用いたノックダウン実験を行った。その結果、見いだされたタンパク質の発現低下により著しく遺伝子多型の転写活性が抑制された。しかしGLO1遺伝子プロモーター領域近傍のメチル化抑制には関与していなかった。今後も、他のエピジェネティクスな変化に着目しGLO1遺伝子の転写発現調節機構の解明を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに見いだされた遺伝子多型がGLO1遺伝子の転写を著しく亢進させることを発見し、GLO1新規遺伝子多型とGLO1 mRNA発現、GLO1酵素活性が相関することも見いだした。また、遺伝子多型と特異的に結合するタンパク質が新たに見いだされ、当該遺伝子多型に結合することで転写が亢進されることが明らかとなった。新たに見いだされたタンパク質とGLO1の関連性を探求することで、GLO1の転写発現調節機構を解明することが可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに同定されたGLO1新規遺伝子多型を認識して結合するタンパク質とGLO1転写亢進機構の分子メカニズムを解明する。特に、エピジェネティクスな変化に注目して今後検討を行っていく予定である。酸化ストレス、糖化ストレス、低酸素などのストレス下におけるGLO1遺伝子転写発現およびGLO1遺伝子多型の検討も行う予定である。 また、GLO1遺伝子多型と糖尿病合併症の発症進展についての関連性を1型糖尿病患者の臨床検体を用いて解析を行う。 本研究によりGLO1遺伝子の転写発現調節機構が解明された場合、1型糖尿病だけではなく様々な疾患に対する新規治療薬の開発・臨床応用につながる可能性がある。
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