2014 Fiscal Year Research-status Report
多胞体膜リン脂質によるサイトカイン産生制御機構の解明
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26860189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 美和 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (30631551)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染制御 / 小胞輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原体感染において、感染細胞や免疫担当細胞から産生されるサイトカインやケモカインは周辺細胞への感染拡大を制御する機構の1つとして非常に重要です。本研究は病原体が感染した事を感知する受容体の細胞内小胞での局在の違いにより、産生されるサイトカインの種類や量が異なる事に着目して、その詳細なメカニズムを解明する事を目的としております。平成26年度は、細胞内小胞輸送に非常に重要な役割を果たしている事が報告されているRab family memberに着目して解析を進めました。研究者の先行研究において、細胞内小胞の中でも多胞体と呼ばれる後期エンドソームと初期エンドソームにおいて、同一の病原体認識受容体を介したサイトカイン産生が異なる事を見出していた事から、Rab familyの中でも多胞体に局在する事が報告されているRabに着目して解析を進めました。多胞体に局在している事が報告されているRab familyの遺伝子欠損マウスより単離したMEF細胞・マウス骨髄由来マクロファージにおいて、病原体の増殖抑制能やファゴサイトーシス能の変化・サイトカイン産生量等について、ルシフェラーゼ法・フローサイトメトリー法ならびにELISA法等を用いて解析を行いましたが、多胞体に局在しているRab family欠損マウスは全ての解析において、野生型マウス由来の細胞と同等の反応を示しました。また、生体内感染におけるこのRab family欠損の影響を、生存率ならびに生体内での病原体の拡大量の差を見る事により比較・検討を行いましたが、生体内での病原体感染においてもこの度解析を行ったRab family memberは顕著な差は示しませんでした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定として、細胞内小胞を分類する手段として、各小胞膜上に特異的に関与している事が暗示されているフォスファチヂルイノシトールに着目し、それぞれの小胞膜をリン脂質を元に分類して、それぞれの小胞膜上の特徴的な分子の同定を試みる事を計画していましたが、1)リン脂質の種分けに適している良い抗体が存在しない、2)タンパク質の様に強制発現をする事が出来ないためタグを付けたものを外部から入れる等が困難である、等の理由から解析が容易ではない状況となりました。そこで、リン脂質からの分類の為の実験系の模索を行いながらも、同じく細胞内小胞輸送に関与している事が既に知られているRab familyに着目し、リン脂質側からのアプローチとRabを介したタンパク質側からのアプローチの両面から解析を進め、少しつづ重要な分子へと辿り着きつつあります。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は多胞体に局在しているRabに着目して、その遺伝子改変マウスの作製とその解析を行いましたが、多胞体だけでなく、オートファジーが病原体認識とのその排除に非常に重要な役割をしている事が近年報告されております。平成27年度は、当初の予定通り、リン脂質による細胞内小胞の分類と各小胞に特異的に局在する分子を同定するための系の確立を目指しつつ、オートファゴソームの形成に関与している事が報告されているRab familyの遺伝子改変マウスを作製し、オートファゴソームを介したサイトカイン産生とそれに伴う感染制御機構について解析を進めたいと考えております。
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Causes of Carryover |
当初の予定として、リン脂質の細胞内局在に着目してその細胞内小胞での局在の特異性を利用して、様々な細胞内小胞を単離し、各細胞内小胞に特異的に局在している分子の同定を目指していましたが、各リン脂質に選択的に結合する抗体の同定といった最適な実験条件の検討に難航してしまい、特異的な小胞に局在する分子を質量分析装置等をかけて網羅的に同定する事が容易ではない状況となったため、昨年度は適切な条件検討に時間を割き、結果として大きな予算を使用する必用がありませんでした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少しづつではありますが条件検討ができつつあるため、現在の条件で単離されている分子群に対して質量分析装置による解析を行ってみたいと考えております。各リン脂質に特異的に結合する事が既に報告されている分子を指標として、各小胞の単離が成功しているのかを判断し、成功していないと判断した場合はさらなる条件を検討して、再度質量分析装置による解析を行いたいと思っております。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Role of mouse and human autophagy proteins in IFN-γ-induced cell-autonomous responses against Toxoplasma gondii.2014
Author(s)
Ohshima J, Lee Y, Sasai M, Saitoh T, Su Ma J, Kamiyama N, Matsuura Y, Pann-Ghill S, Hayashi M, Ebisu S, Takeda K, Akira S, Yamamoto M
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Journal Title
J Immunol.
Volume: 192
Pages: 3328-3335
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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