2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞極性制御タンパク質Morg1の腎上皮組織形成における作用機構の解明
Project/Area Number |
26860193
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
早瀬 純也 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40621686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Morg1 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞は、栄養物の吸収や老廃物の排泄など、多細胞生物の個体維持に必須な機能を果たす。このように上皮細胞が多様な機能を発揮するためには、体外環境に接するapical膜と体内環境に接するbasolateral膜という性質の異なる膜ドメインを形成する細胞極性 (apico-basal polarity)が必要不可欠である。申請者はこれまでに、腎尿細管由来の上皮細胞において、apico-basal polarityの形成に必要なタンパク質としてMorg1を同定した。しかしながら、腎上皮組織を初めとするin vivoの上皮組織形成においてMorg1が同様の機序で働くかは不明である。そこで、Morg1の個体発生における役割を明らかにするため、昨年度はMorg1欠損マウスの作出を行った。本年度は、作出したマウスを用いてMorg1の欠損により胎生期にどのような表現型が現れるかを解析した。Morg1欠損マウスは胎生期初期に致死となったことから、Morg1はマウスの初期発生過程に必要であることが明らかとなった。Morg1欠損マウスの詳細な観察を行ったところ、どの胎仔も腎組織形成が始まる前の段階で死に至っていた。そこで現在は腎特異的なMorg1欠損マウスの作出を進めており、今後はMorg1が腎組織形成のどの段階に必要であるかを解析する予定である。 また、本年度は生体内におけるMorg1の作用機構を更に解明するため、Morg1の新規結合タンパク質の探索を行った。その結果、Morg1は低分子量Gタンパク質 Rho familyの制御因子と結合することが明らかとなった。現在、この制御因子とMorg1の結合が生体内でどのような役割を担っているのかを解析しているところである。
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