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2014 Fiscal Year Research-status Report

DNA損傷応答における細胞運命振り分け機構の解明

Research Project

Project/Area Number 26860195
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

城村 由和  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40616322)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords老化 / DNA損傷 / p53
Outline of Annual Research Achievements

がん遺伝子の活性化や加齢によって生じるDNA損傷応答は、一時的な細胞周期の停止、もしくは不可逆的な細胞周期の停止である細胞老化を誘導することが知られている。しかし、どのようなメカニズムでこれらの細胞運命が決定されるかについては不明である。申請者は、細胞周期G2期におけるがん抑制遺伝子p53の活性化が細胞老化誘導に必要かつ十分であることを見出した。そこで本研究では、DNA損傷応答におけるG2/M期チェックポイントの活性化とp53の活性化による情報伝達ネットワークについて細胞・個体レベルで解析することによって、DNA損傷応答における細胞運命の振り分け機構を解明し、発ガン防御や老化の分子基盤を明らかにすることを目指している。
26年度までの当該研究では、DNA損傷応答におけるG2/M期チェックポイント活性化とp53の活性化のタイミングの解析を行った。その結果、低レベルのDNA損傷では15分程度でATR-Chk1依存的チェックポイントの活性化を介して細胞をG2期に蓄積し、10時間以内にDNA損傷が修復されG2期チェックポイントが解除されれば細胞はM期を経てG1期に移行して、細胞老化が回避されることが分かった。一方、高レベルのDNA損傷では約24時間までATR-Chk1依存的チェックポイントの活性化が持続し、その間にp53-p21経路の活性化が起こることによって分裂回避を生じ、細胞老化が誘導されることが分かった。
さらに、DNA損傷応答関連因子であるTopBP1活性化ドメインやClaspinの非分解型変異体をヒト正常線維芽細胞に導入したところ、低レベルのDNA損傷下においても有意にG2期停止の延長が認められ、細胞老化誘導を促進した。この結果は、p53-p21経路とATR-Chk1経路の活性化の時間差が細胞老化誘導の鍵となることを示している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

26年度までの当該研究により、当初の予定であったDNA損傷応答におけるG2/M期チェックポイントの活性化とp53の活性化による情報伝達ネットワークの詳細を明らかにし、p53-p21経路とATR-Chk1経路の活性化の時間差が細胞老化誘導の鍵となることを見出した。本研究により、これまで不明であった細胞老化誘導機構の詳細の一端が解明され、細胞老化が深く関与する老年病やがんといった疾病の研究に大きな貢献をすることが期待されることから、本研究はおおむね順調に推移していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

26年度までの当該研究において、p53-p21経路とATR-Chk1経路の活性化の時間差が細胞老化誘導の鍵になることが明らかとなった。しかしながら、細胞老化が個体老化に与える影響については、未だ不明な点が多い。そこで、細胞レベルで確立した人工的G2期チェックポイント延長による細胞老化促進の系をマウス個体レベルに応用し、細胞老化の個体内での役割について明らかにする。具体的には、全身の細胞への発現を可能にするCAGプロモーターの下流に非分解型Claspin遺伝子を挿入したカセット遺伝子を用いてトランスジェニックマウスを作製し、細胞老化と個体老化の関連ついて解析する予定である。

Causes of Carryover

所属研究室が有する試薬、器具および装置等を効率良く利用したことにより、当初予想していたよりも少ない予算で当該研究の目標を達成できたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

27年度の研究計画ではトランスジェニックマウスの作製および解析を計画しているため、マウスの作製費用や系統維持等に多くの予算が必要である。そこで26年度の未使用予算については主に動物実験費用に充てる予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] Necessary and Sufficient role for a mitosis skip in senescence induction2014

    • Author(s)
      Y. Johmura, M. Shimada, T. Misaki, A. Naiki-Ito, H. Miyoshi, N. Motoyama, N. Ohtani, E. Hara, M. Nakamura, A. Morita, S. Takahashi, and M. Nakanishi
    • Journal Title

      Molecular Cell

      Volume: 55 Pages: 73-84

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2014.05.003.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] CBP-93872 inhibits NBS1-mediated ATR activation, abrogating maintenance of the DNA double-strand break-specific G2 checkpoint2014

    • Author(s)
      T. Hirokawa, B. Shiotani, M. Shimada, K. Murata, Y. Johmura, M. Haruta, H. Tahara, H. Takeyama, and M. Nakanishi
    • Journal Title

      Cancer Research

      Volume: 74 Pages: 80-89

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-13-3604.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Molecular characterization of cell fate determination in the DNA damage response2014

    • Author(s)
      Y. Johmura, E. Yamashita, M. Nakanishi
    • Organizer
      9th 3R meeting
    • Place of Presentation
      静岡県・御殿場
    • Year and Date
      2014-11-17 – 2014-11-21
  • [Remarks] 「老化メカニズムの解明」に関する論文発表について

    • URL

      http://www.nagoya-cu.ac.jp/secure/149568/260529.pdf

  • [Remarks] 老化細胞は分裂期の回避により生じた四倍体のG1期細胞である

    • URL

      http://first.lifesciencedb.jp/archives/9036

URL: 

Published: 2016-06-01  

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