2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860200
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大石 路子 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (80454875)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 老化 / 分泌因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、若齢マウス由来の間葉系幹細胞(MSC)の移植により、骨粗鬆症抑制や寿命延長効果があることが報告されている。当グループではこれまでに老齢マウス由来のMSCの機能回復を促す遺伝子を同定している。また、この遺伝子を強制発現した老齢マウス由来のMSCの老齢マウスへの移植により、老化に伴う骨粗鬆症などの加齢性疾患への抑制効果を確認した。しかしながら、移植したMSCのほとんどが機能回復にかかわる組織ではなく肺に生着していることから、この効果は遺伝子を強制発現させたMSCの分泌する因子によるものと推測し、同定を試みた。この遺伝子を強制発現させた老齢マウス由来のMSC、コントロール遺伝子を強制発現させた老齢マウス由来MSC、若齢マウス由来MSCおよび老齢マウス由来MSCのDNAマイクロアレイ解析を行いgene ontology解析により分泌因子を抽出した。抽出された分泌因子の遺伝子を発現させた293T細胞の培養上清を用いて、MSCの骨分化能を指標として目的の分泌因子のスクリーニングを行った。さらに、この分泌因子の強制発現およびノックダウンによるMSCの骨分化能および脂肪細胞への分化能への影響を検討した結果、MSCの機能回復を促す分泌因子を同定した。 次に生体内での効果を検討した。この同定因子の血中での発現量は若齢マウスで老齢マウスに比べて有意に高かった。そこで、同定因子を発現するレンチウイルスを作製し、これを老齢マウスへ投与することで血中での同定因子の発現量を増加させ、骨粗鬆症などの加齢性疾患への効果を検討した。この結果、同定因子の血中での発現量の増加による種々の加齢性疾患に対する改善効果がみられた。現在はこの分泌因子の効果について詳細な検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、間葉系幹細胞から分泌されるMSCの機能回復を促す分子を同定した。また、この分泌因子のマウス生体内での加齢性疾患への改善効果についても確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定因子の過剰発現によりマウスで確認された加齢性疾患への改善効果を疾患別に検討し、そのメカニズムについて解析をすすめる。
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Causes of Carryover |
おおむね予定額を使用したが、試薬等の価格と見合わず少額ではあるが残額として残ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度解析予定である同定因子による加齢性疾患の改善効果のメカニズム解析に必要な試薬および消耗品等の購入に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)