2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860202
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
菱川 大介 独立行政法人国立国際医療研究センター, 脂質シグナリングプロジェクト, 上級研究員 (10569966)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂質輸送タンパク質 / 肺サーファクタント |
Outline of Annual Research Achievements |
肺サーファクタントはリン脂質を主成分とする、呼吸に必須の物質である。肺サーファクタントリン脂質は肺胞腔中に分泌された後、肺胞上皮細胞によりリサイクルされる事が知られているが、そのメカニズムは不明である。本研究は、肺サーファクタントリン脂質輸送およびリサイクルの分子機構の解明を目的とし、その候補分子であSec14L3の機能解析を行うものである。Sec14L3は肺および細気管支の上皮細胞に高発現し、肺胞腔中に分泌される機能未知タンパク質であり、酵母から保存されているリン脂質結合ドメインであるSec14ドメインを有している。平成26年度は以下の成果を得た。 1、Sec14L3およびSec14L4二重欠損マウスの作出;Sec14L3欠損マウスの肺サーファクタントリン脂質量と組成を野生型マウスと比較したところ大きな差が認められなかった。本研究の解析により、Sec14L3と高い相同性を有するSec14L4もまた肺において高発現し、Sec14L3と同様に肺胞腔中に分泌される事が明らかになったため、Sec14L4がSec14L3の機能を代償している可能性が示唆された。そこで、Sec14L3/Sec14L4二重欠損マウスを作出した。 2、Sec14L3の肺における発現解析;当研究室が保有しているSec14L3抗体を用いてマウス肺を用いた免疫組織染色を行ったところ、Sec14L3は気管支、細気管支の繊毛上皮細胞、肺胞1型および2型上皮細胞に発現が認められた。 3、Sec14L3の急性肺障害における発現変動;グラム陰性菌の持つ内毒素であるリポ多糖をマウスの期間内に投与する事で、急性の肺障害を引き起こしたところ、Sec14L3の発現が抑制される事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCRおよびウエスタンブロット解析の結果、Sec14L3と高い相同性(アミノ酸配列で約80%)を示すSec14L4もまた、肺に高発現し肺胞腔中に分泌される事が明らかとなった為、Sec14L3単独欠損マウスの解析を行う予定であったが、Sec14L3/Sec14L4の二重欠損マウスを作成し解析する事とした。そのため、マウスを用いた実験が計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在作成中である、Sec14L3/Sec14L4二重欠損マウスを用いた表現系解析により、Sec14L3およびSec14L4の肺における機能を解析する。Sec14L3/Sec14L4はどちらも肺胞腔中に分泌されるが、結合する脂質リガンドが不明のため、二重欠損マウスの気管支肺胞洗浄液中のリピドミクス解析を行う事により脂質リガンドの同定を行う。また、マウスのみではなく、リコンビナントSec14L3の精製タンパク質やCell lineでの過剰発現なども併せて用いる事により、脂質リガンドの同定を試みる。 また、Sec14L3およびSec14L4はインフルエンザ感染や喘息などにより、その発現が減少する事が報告されているため、二重欠損マウスでの感染実験や肺障害実験を行う事により、病態時におけるSec14L3およびSec14L4の機能を明らかにする。
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