2014 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー・リソソーム系に着目した新たな脂質分解機構の解明
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26860203
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相澤 修 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (10645899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / リソソーム / 脂質分解 / 脂肪滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の脂質代謝は生体の恒常性維持に極めて重要である。細胞内構成成分の分解を担う細胞内小器官リソソームにも脂質分解酵素であるリパーゼが含まれており、その遺伝子欠損は重篤な脂質代謝障害を引き起こす。さらに近年、肝細胞などにおいてマクロオートファジーを介した細胞内脂肪滴成分の分解が報告されたことから、細胞内脂質の品質管理におけるオートファジー・リソソームシステムが注目されている。本研究課題では、我々が見出しつつある脂質分子を選択的に分解する新たなオートファジー・リソソームシステムの分子機構および生理学的意義を明らかにすることを目的とする。 今年度は、培養細胞を用いた実験系により、新規脂質分解システムに重要と考えられる候補タンパク質の探索を試みた。複数の候補となるタンパク質の発現抑制や過剰発現により、新規脂質分解システムにおけるキーとなる分子を発見することができた。 さらに、発見した候補タンパク質の合成ペプチドを用いたin vitro実験により、新規脂質分解システムにおける細胞内分解基質の一部を同定するに至った。 また、阻害剤等を用いた実験結果より、我々が見出した新規脂質分解システムはこれまで報告されている膜輸送を介したマクロオートファジーとは異なる経路であることが示唆された。 以上、今年度得られた結果より、細胞内の脂質分子を標的とする新たなオートファジー・リソソームシステムにおける分子機構の一端を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、新規脂質分解システムに関係する候補タンパク質を見出すことができた。また、我々が発見した脂質分解経路は、これまで報告されているオートファジー・リソソーム経路とは全く異なる経路であることが確認された。さらに、細胞内における分解基質の一部を同定できたことは、本研究の進捗において重要な成果であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度に見出した候補タンパク質分子の遺伝子欠損マウスを用いた動物個体レベルでの解析を行うことにより、新規脂質分解システムの生理学的意義について検討する予定である。新規脂質分解システムの全容を明らかにし、得られた知見を学会発表や論文投稿により広く公表していきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度に新規脂質分解システムに重要な候補タンパク質を発見し、これを標的とした新たな遺伝子改変実験動物の作出が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の次年度使用額は、主に新たな遺伝子改変実験動物の作出や維持費に用いる。加えて、新たに作出された遺伝子改変実験動物の表現型解析に用いる消耗品等を購入する予定である。学会での成果報告のための旅費や論文投稿のための英文校正費や投稿費を予定している。実験設備は整っているため、設備備品の購入予定はない。
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