2015 Fiscal Year Annual Research Report
Dystrophic endballを誘導する神経細胞膜表面機構の解明
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26860209
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂元 一真 名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (60612801)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / オートファジー / チロシンフォスファターゼ / コンドロイチン硫酸 / へパラン硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにPTPσに結合する糖鎖として、コンドロイチン硫酸4糖・へパラン硫酸4糖を同定した。そこで、本年度はこれら糖鎖のPTPσ細胞内シグナル系に与える影響を調べたところ、これら4糖はPTPσの酵素活性を上昇させた。一方これら糖鎖を8糖まで伸ばすと、PTPσの酵素活性は抑制された。この結果は、4糖はPTPσを単量体化させ、8糖はPTPσを多量体化させることを意味する。さらに、4糖はPTPσを介してオートファジー流を阻害した。これはPTPσ阻害剤で抑制されたことから、PTPσの酵素活性に依存していることがわかった。またこのPTPσ阻害剤はDystrophic endballをレスキューし、軸索再生を促進した。 以上の結果から、1、グリア性瘢痕に関連したコンドロイチン硫酸はPTPσを単量体化させる、2、この結果PTPσのチロシンフォスファターゼ活性が上昇する、3、未知の基質が脱リン酸化され、オートファジー流が完遂できなくなる、4、オートファゴソームが異常蓄積する、ことがDystrophic endballの形成機構であることが示唆された。一方、へパラン硫酸は複数のPTPσと結合し、そのクラスタリングを介してオートファジー流を促進し、軸索伸長に促進的に働くことが示唆された。実際に化学合成したへパラン硫酸8糖もDystrophic endballをレスキューし、軸索再生を促進した。 本研究は、Dystrophic endballを形成する細胞膜表面機構に重点を置く計画であったが、その詳細がわかったことにより、細胞内部の機構にまで踏み込めることができ、予想以上の成果を挙げることができたと考えている。本結果は論文投稿準備中である。 今後はPTPσの基質の同定などを通して、本研究をさらに深く展開していきたい。
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Research Products
(1 results)