2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860211
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斉藤 雅也 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (00631558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
早期に肝細胞がんを再発したモデルマウスを用いて、それぞれ血清中代謝産物を脂溶性化合物、水溶性化合物に分けて網羅的に解析した。 肝細胞がんを切除した後4週間目、あるいは、8週間目のマウスの肝組織の病理組織学的検索にて、肝細胞がん再発の有無を確認した後、それぞれのマウス血清からそれぞれ代謝産物を抽出し、得られた抽出液をGC/MSに供した。得られたクロマトグラムを主成分分析によりアミノ酸、有機酸の比較解析を行った。 この結果、肝細胞がんを切除した後4週間目の肝組織の病理組織学的検索にて肝細胞癌の再発が20%で認められたのに対し、8週間目のマウスの肝組織の病理組織学的検索にて肝細胞癌の再発が40%で認められた。肝細胞癌の再発が認められたマウスだけで比較解析を行ったところ、4週目で肝細胞癌再発が認められたマウスでは8週目で肝細胞癌再発が認められたマウスよりも血清タウリンが有意に低値を示した。肝細胞癌の再発がなかったマウスだけで比較解析を行ったところ、4週目と8週目のマウスで血清タウリンに有意差を認めなかった。 以上より、肝細胞癌再発しやすいマウスでは、血清タウリンが低下していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画では、網羅的代謝物解析による肝細胞癌再発予測のための物質を同定することであった。平成26年度では、肝細胞癌再発しやすいマウスでは、血清タウリンが低下していることが明らかになった。従って当初の計画通り、本研究は順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Ⅰ:肝細胞がん切除後の再発予測式の作成 肝細胞がん切除後の再発予測式を作成するために、GC/MS分析において、以下の項目をファーストスクリーニングとして検討する。Ⅰ-1: 血清由来成分でない化合物の確認、Ⅰー2: 肝細胞がんの再発と無再発との間で有意な差がある化合物を選択、Ⅰ-3: 分析を通じて化合物の安定性の確認、Ⅰ-4: 同じ化合物が違う保持時間に検出される化合物の確認、Ⅰ-5: 日内・日間変動の確認の5項目である。セカンドスクリーニングとして、ステップワイズ法による説明変数を選択し、ロジスティック回帰分析による予測式を作成する。 Ⅱ:肝細胞がん切除後の再発予測式の確認 確認試験として、予測式を作成したものとは別の検体の分析結果を作成した予測式に挿入し、同様に感度、特異度を評価することで、作成した予測式の信頼性を確認する。平成26年度と平成27年度の研究成果をまとめることで、質量分析装置を用いた肝細胞がんの再発予測システム開発への足がかりとする。そのため、他機関からも肝細胞がん切除後の臨床血清検体を収集し、上記と同様にプロテオーム解析を実施する。そして、得られた結果を神戸大学医学部附属病院由来の臨床検体の結果と照合する。
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Research Products
(2 results)