2014 Fiscal Year Research-status Report
トリプルネガティブ乳癌での核内PAG1のプロテアソーム非依存的増殖制御機構の解明
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26860212
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小松 正人 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 助教 (50531753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トリプルネガティブ乳癌 / プロテアソーム構成因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホルモンレセプター・上皮成長因子受容体2(HER2)の発現を欠くトリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、生物学的悪性度が高く、現時点では未だ有効な分子標的がないことから、その発症・増殖機構の解明および新規治療法の確立は急務である。申請者は、これまでにTNBCの網羅的遺伝子発現解析データを基にしたパスウェイ解析を通じて、TNBCにて発現亢進を認める細胞増殖関連パスウェイを同定し、それら全てに共通して発現亢進を認めるプロテアソーム関連因子PAG1に着目した。本研究では、PAG1がプロテアソーム依存的な増殖制御機構に加え、核内でプロテアソーム非依存的な増殖制御を担っている可能性について細胞生物学および生化学実験により徐々に明らかとなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにプロテアソーム構成因子PAG1(HA-tag)の安定過剰発現細胞(HEK293細胞)を用いた網羅的プロテオミクス解析(国立がん研究センター尾野雅哉博士のご協力)により、PAG1と核内で相互作用する因子として新規にPARPを同定した。PARP1はDNA修復に関与するポリメラーゼであり、実際に内在性PARPと内在性PAG1が相互作用しうることもTNBC細胞株であるMDA-MB-231を用いた免疫沈降実験でも確認できた。PARPのDNA修復機構に対するPAG1が与える影響について現在生化学的手法を用いて解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
PARPと相互作用するPAG1の結合領域を数アミノ酸レベルまで同定し、同部位の膜貫通型ドミナントネガティブペプチドを作成する。このペプチドの細胞株への添加によりPARP/PAG1の相互作用が破綻すると考えられ、その結果DNA傷害性薬剤(白金製剤/アントラサイクリン製剤)に対する応答が変化するかどうかをin vitroで確認予定。また、PARPと相互作用しうるPAG1が成熟プロテアソームの一部として機能しているのか、もしくは単独ないし未成熟プロテアソームの構成因子として機能しているのかどうかも、密度勾配遠心および免疫沈降実験により確認予定である。最終的にはこのペプチドが抗癌剤併用効果をもたらすのかどうかについて動物実験(TNBC細胞を用いた同所性xenograftモデル)にて確認予定である。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況として、PAG1/PARPの相互作用するドミナントネガティブペプチドの作成について、まだペプチド配列が未決定であったため計上できていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドミナントネガティブペプチド作成費用、免疫沈降実験用試薬、細胞培養試薬(抗癌剤を含む)、動物実験用のマウス購入に使用予定である。
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Research Products
(4 results)