2014 Fiscal Year Research-status Report
クロマチンリモデリング因子ARID1A発現消失の胃癌における意義の解明
Project/Area Number |
26860232
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 浩幸 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40708632)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 胃癌 / Epstein-Barr virus / ARID1A / クロマチンリモデリンング / 免疫組織化学 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
ARID1Aの発現低下による変化を網羅的に解析するため,胃癌細胞株MKN74とNUGC3に対しsiRNAによるARID1A knockdownとマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行い,約50の共通して発現が変動する遺伝子を同定した.更にThe Cancer Genome Atlasによる胃癌の網羅的遺伝子発現解析(Nature 2014)の公開データベースから,EB胃癌の中でARID1A変異の有無により発現の異なる遺伝子を抽出した.その結果,マイクロアレイと共通して発現が上昇する遺伝子Xを同定した.ARID1A knockdownによるXの発現上昇はRT-PCR及びWestern blottingでも確認された.Xは幅広い細胞に発現するタンパクであり,クロマチンリモデリンングや細胞老化,増殖に関与し,EBVのタンパクとの核内での共局在も報告されている.今後はXの発現変動とウイルス感染効率やウイルスタンパクとの関係を解析する予定である. また,手術材料を用いた検討では,肝細胞癌及びマイクロサテライト不安定性胃癌において,一部のクローンのみARID1Aの発現消失が見られるclonal loss patternの存在を確認した.特に肝細胞癌については腫瘍径や組織学的分化度,p53, beta-cateninの発現と相関しており,腫瘍の進展に深く関わる可能性が示唆された[Abe H et al. Int J Clin Exp Pathol (in press)].
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ARID1A knockdownとマイクロアレイによる網羅的発現解析,ARID1A発現消失により発現が変動する候補遺伝子の抽出は順調に進んでいる.また手術材料を用いた検討も,胃癌だけでなく肝細胞癌も含めた解析を行い,特に肝細胞癌については論文発表を行うことができた(Int J Clin Exp Pathol in press).EBVとの関係性の解明は今後の課題となるが,概ね計画は順調に進んでいると判断される.
|
Strategy for Future Research Activity |
上記で見つかったARID1A発現低下により発現が更新する遺伝子Xについて,EBVとの関連を解析する.具体的には,XをknockdownすることによりEBVの胃癌細胞に対する感染効率の変化を解析する.また既にEBVに感染した細胞について,Xの発現抑制が癌細胞の動態(増殖や遊走能)に変化を与えるか否かについて検討する.EBVの産生する蛋白とXとの間に相互作用があるかどうか,蛍光免疫染色や免疫沈降を用いて解析する.さらにXとARID1Aの発現の相関について,胃癌手術材料から作製したtissue microarrayを用いて検証を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
必要な器具・試薬類が当初予定より安く入手できたこと,及び学会発表出張が当初予定より少なかったことから,次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は海外学会での発表を含む学会発表のための出張を複数予定しているため,旅費が2014年度を上回る予定である.また2014年度に得られたデータを踏まえて解析を進めるため,試薬類もより多くを必要とする予定である.
|