2015 Fiscal Year Research-status Report
異所性発現型嗅神経受容体による大腸癌幹細胞維持機構の基盤的解析
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26860239
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
守田 玲菜 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00516916)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 嗅神経受容体 / OR7C1 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間において、ヒト大腸がん細胞株 SW480 から、Side population (SP)法にて大腸がん幹細胞を分離した。同がん幹細胞は、免疫不全マウスにおいて、比較対照群となる main population (MP)細胞より高い造腫瘍能を示した。また、SP細胞は MP細胞と比較してSOX2, Oct3/4, Nanog, LGR5 といった幹細胞関連分の高い発現を示した。SP細胞におけるトランスクリプトーム解析を行う為 cDNA マイクロアレイ法にて遺伝子発現を網羅的に解析した結果、旧神経受容体の一つであるolfactory receptor family 7 subfamily C member 1 (OR7C1)を見出した。OR7C1 は正常臓器では、精巣にのみ発現する、新規がん精巣抗原の一つでもあることが示唆された。OR7C1の大腸がん幹細胞における機能解析を行う為、OR7C1過剰発現および、siRNAによるOR7C1ノックダンを行った。その結果、嗅神経受容体 OR7C1 は、大腸がん幹細胞の維持に関わる事が判明し、がん幹細胞において何らかの機能を有することが示唆された。さらに、OR7C1 は新規がん精巣抗原であったことから、がん免疫療法の標的分子になることを想定し、OR7C1にコードされる、候補抗原ペプチドをデザインした。候補抗原ペプチドを用いて、細胞傷害性T細胞を誘導した結果、OR7C1抗原ペプチド特異的CTL誘導に成功した。本結果は、嗅神経受容体の一つであるOR7C1は、がん幹細胞に発現し、免疫療法の標的となる可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度中に、ヒト大腸がん株 SW480 から分離したがん幹細胞のトランスクリプトーム解析から、嗅神経受容体の一つである OR7C1 が、がん幹細胞に発現することを見出した。遺伝子過剰発現実験および、siRNA を用いた遺伝子ノックダウン実験により、OR7C1が、大腸がん幹細胞において重要機能を担うことが判明した。また、OR7C1は新規がん精巣抗原であり、免疫稜堡の治療標的としても有効である可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度中に、嗅神経受容体の一つである OR7C1 ががん幹細胞に発現し、機能する事を見出した。平成28年度中には、OR7C1 ががん幹細胞標的療法において、治療標的としてどの程度有効であるか、マウスモデルを用いて、その機能を評価する。また、OR7C1ががん幹細胞においてどのような分子メカニズムにより、がん幹細胞維持に関わるか不明であるため、OR7C1からのシグナル伝達に関し、ウエスタンブロット法、あるいは、OR7C1の変異遺伝子を作製し、検討を進める。
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[Journal Article] Olfactory receptor family receptor, family 7, subfamily C, member 1 is a novel marker of colon cancer-initiating cells and is a potent target of immunotherapy2016
Author(s)
Morita R, Hirohashi Y, Torigoe T, Inoda S, Takahashi A, Mariya T, Asanuma H, Tamura Y, Tsukahara T, Kanaseki T, Kubo T, Kutomi G, Mizuguchi T, Terui T, Ishitani K, Hashino S, Kondo T, Minagawa N, Takahashi N, Taketomi A, Todo S, Asaka M, Sato N.
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Journal Title
Clin Cancer Res
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant