2014 Fiscal Year Research-status Report
毛包幹細胞の分裂制御におけるヘミデスモソーム構成因子の役割とその仕組みの解明
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26860258
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松村 寛行 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70581700)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 細胞極性 / ヘミデスモソーム / COL17A1 / ITGA6 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞極性は、哺乳類の幹細胞の自己複製と分化の制御に重要な役割を果たすことが分かってきているが、成体の毛包幹細胞におけるその分裂制御と機能的役割は、ほとんど明らかにされていない。基底膜ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲンは、表皮基底膜細胞を基底膜へと接着させる役割をもつことが知られている。我々は、17型コラーゲンを解析したところ、毛包幹細胞の基底膜にも発現しており、毛包幹細胞の維持に必須であることを明らかにしてきている(Cell Stem Cell 2011)。本研究では、ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲン及びインテグリンα6が、どのようにして毛包幹細胞の細胞極性制御に関わるのか、また、aPKCやpard3などの細胞極性制御因子の欠損により、毛包幹細胞の細胞極性制御に関わるのか、さらに、細胞極性因子との関係を明らかにすることで、ヘミデスモソーム構成成分による毛包幹細胞における細胞極性の制御に仕組みを解明することを目的としている。 初めに、免疫染色法により毛包幹細胞の細胞極性を解析したところ、毛包幹細胞は、活発に増殖する時期において、基底膜を軸として、均等分裂および不均等分裂を引き起こすことが分かった。そこで、現在、ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲン及び、インテグリンα6の毛包特異的欠損マウスを作製し、活発に増殖する時期において、細胞極性の制御に関わるのか詳細に解析している。また同時に、細胞極性に重要な役割を持つ、aPKC及び、Pard3の毛包特異的欠損マウスを作製し、細胞極性の欠損に関わるのか、その結果、毛包幹細胞の異常を引き起こし、脱毛などの表現型を示すのか、詳細に解析している。さらに、現在、免疫沈降法により17型コラーゲンと細胞極性制御因子と結合する可能性がある分子を詳細に探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、大まかに下記に示す4つの項目である。 1、成体の毛包幹細胞での不均等分裂の実態を明らかにする。2、ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲン及び、インテグリンα6欠損による不均等分裂の異常の有無を明らかにする。3、細胞極性に関わるaPKCやPard3などの毛包幹細胞特異的欠損マウスを作出し、不均等分裂が機能的に幹細胞を維持しているのかを明らかにする。4、ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲン及び、インテグリンα6と細胞極性因子との結合の有無を明らかにすることである。 我々は、これらの目的に対して、一定以上の回答を得ている。例えば、1に対して、免疫染色法によって、毛包幹細胞は、活発に増殖する時期に、基底膜を軸として、均等分裂、不均等分裂を存在することを示している、2に対して、ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲン及び、インテグリンα6の毛包幹細胞特異的な欠損マウスを既に作製しており、現在、詳細に解析中である。3に対して、細胞極性に関わるaPKCやpard3などの毛包幹細胞特異的欠損マウスを既に、作製し、毛包幹細胞の細胞極性の異常をきたし、顕著な脱毛を引き起こすのか、詳細に解析中である。 以上のことから、おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、ヘミデスモソーム構成成分である17型コラーゲン及び、インテグリンα6と細胞極性因子との結合の解析について推進していく予定である。今までの研究成果から、ヘミデスモソーム構成因子は、細胞極性因子の維持制御に関わる可能性が高い。そこで、まず、in vivo皮膚ライゼートを用いて共免疫沈降法により、細胞極性因子(aPKC,PARD3,RAC1,CDC42,NUMB)などとヘミデスモソーム構成因子が結合しているのか解析を試みる。もし、うまく結合が検出できない場合、ヒト培養皮膚細胞(HACAT)や初代培養ヒトケラチノサイトなどを用いて、GSTなどのタグタンパク質と共発現させて検出を試みる。また、ヘミデスモソーム構成分子を過剰発現させた細胞での細胞極性制御因子の発現変化や、逆に細胞極性制御因子を過剰発現させた細胞でのヘミデスモソームの発現変化と併せて解析し、生体内での共局在と比較することにより、相互関係を詳細に解析する予定である。
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Research Products
(1 results)