2014 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌3次元モデルの樹立と間質浸潤促進因子の新規同定
Project/Area Number |
26860268
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 貴史 近畿大学, 医学部, 助教 (40573423)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 肺腺癌 / 三次元培養 / 非浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
E6/E7 oncogeneにより不死化したヒト肺上皮細胞株であるHBE135E6E7細胞(HBE細胞)をヒト線維芽細胞とともにマトリゲル中で三次元培養し、細気管支/肺胞構造に類似した導管の房状分枝構造を作出した。この構造物がどこまで肺腺癌のモデルとして実用されるかをE-cadherinやBrdU、Pro-SP-C、AQP-5などの免疫染色を行い、非浸潤性肺腺癌に類似していることを見出した。次に、この非浸潤性肺腺癌の分子機構を解析した。まず線維芽細胞の液性因子に形態形成機能があることを明らかにした。さらに、線維芽細胞が特に強く放出しているサイトカインの中で、肺胞の形態形成に関与する因子を解析したところ、HGFの発現が顕著に高いことが明らかにした。そこで、HGFに対する中和抗体を加えたところ、非浸潤性肺腺癌の形成が抑制された。一方で、HBE細胞のみで三次元培養を行っても、の房状分枝構造は得られないが、この培養液にHGFを加えても構造に違いが見られなかったので、HGFは房状分枝構造形成には、必須ではあるが、十分ではないと考えられる。HGFは肺腺癌で変異や過剰発現が報告されているので、実際にヒト肺腺癌の手術サンプルでHGF-Met systemを解析した。いくつかの症例では、高分化型腺癌と低分化型腺癌を比較して、Metの発現量には大きな違いが無かった。しかしながら、Metにシグナルが入ったことを示すチロシンリン酸化Met(p-Met)に関しては高分化型腺癌でより多く見出された。このことから、非浸潤性肺腺癌ではHGFが形態形成に関与していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三次元培養法を用いて非浸潤生肺腺癌のモデルを樹立し、さらにその分子機構を明らかにし、Journal of Cellular and Molecular Medicineに投稿し、現在、審査を受け、追加実験を行っており、一定の進捗があると考えている。ただし、申請書に記載されているような浸潤関連因子の特定までには至っておらず、今後、浸潤因子を見出す予定でいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、微小浸潤肺腺癌のレーザーマイクロダイセクションにて浸潤部のRNAを抽出し、DNAマイクロアレイにより、浸潤成分に特異的な遺伝子発現を網羅的に同定する。さらに、ヒト肺腺癌細胞株の偽足突起のプロテオミクスを行い、偽足突起に局在する新規分子を同定する。この両解析結果を比較することで、肺腺癌浸潤に関与する候補分子を見出す。この候補分子の機能をヒト肺腺癌細胞株のin vitroアッセイ系にて解析し、浸潤促進活性の有無を検討する予定でいる。
|
Causes of Carryover |
当初の予定にあるように、微小浸潤肺腺癌やヒト肺腺癌細胞株を用いて、肺腺癌の浸潤に関わる因子の同定を行うため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
微小浸潤肺腺癌のレーザーマイクロダイセクションを行い、DNAマイクロアレイにより、浸潤成分に特異的な遺伝子発現を網羅的に同定する。さらに、ヒト肺腺癌細胞株の偽足突起のプロテオミクスを行い、偽足突起に局在する新規分子を同定する。両解析結果を比較することで、肺腺癌浸潤effector分子の候補を選出する。
|
Research Products
(8 results)