2016 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between anaerobic metabolisms and organelle evolution of Entamoeba histolytica
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26860275
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
千葉 洋子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, ポストドクトラル研究員 (70638981)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オルガネラ / 進化 / 寄生虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、赤痢アメーバ原虫において縮退したミトコンドリア(マイトソーム)が多くの機能を失いつつも硫酸活性化経路という新たな機能を細胞質から取込んだ理由を、「ピロリン酸(PPi)代謝」をキーワードに明らかにすることを目的とした。具体的には、「複数の相対するPPi代謝が細胞内に共存するために、オルガネラ膜による代謝系の分離が起きた」という仮説の成否を検証した。さらに、細胞内のPPi濃度調整のカギとなっていることが期待されるが、未だ遺伝子が不明であったPPi型phosphoenolpyruvate carboxykinaseの同定も目指した。 まず、PPi型phosphoenolpyruvate carboxykinaseの同定に成功した。同定された遺伝子およびアミノ酸配列の情報を用いたin silico解析により、本酵素は赤痢アメーバだけではなく様々なバクテリアおよび単細胞性真核生物に存在することが明らかになった。すなわち、本成果は赤痢アメーバの1タンパク質の同定にとどまらず、幅広い生物に存在する機能未知遺伝子の役割を明らかにし、ゲノムデータに意味付けをしたという点で科学的・産業的な意義がある。 さらに、昨年度から本年度にかけては、赤痢アメーバ内のPPi濃度を人為的に低下させるシステムの構築を行い、上述の仮説の正しさをサポートするデータを得ることに成功した。また、本年度は赤痢アメーバ近縁種においても我々の仮説がサポートされるかを検証しつつ、学術論文の投稿準備を始めた。
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Research Products
(2 results)