2014 Fiscal Year Research-status Report
免疫応答を制御するバキュロウイルスを用いたマラリアワクチンプラットフォームの開発
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26860278
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊従 光洋 金沢大学, 薬学系, 助教 (20608351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マラリア / ワクチン / バキュロウイルス / 遺伝子組換え原虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度までに免疫制御性バキュロウイルスベクターを以下の通り作製でき、各種機能解析およびマラリア感染試験を行った。 A) 補体抵抗性カセット含有ベクター:補体制御性因子であるヒトDAFタンパクをウイルス粒子上に提示できたかどうかを免疫電子顕微鏡法で確認できた。別途ルシフェラーゼ発現ベクターも作製することに成功し、DAF発現ベクターの補体抵抗性を数値化することに成功した。B) 樹状細胞にターゲティング可能な単鎖抗体発現型ベクター:抗体のウイルス粒子上への提示には成功したものの、今までのところウイルス自体の樹状細胞へのターゲティング効果はない。現在、単鎖抗体融合タンパクのみを発現するDNAワクチンタイプのベクター作製に取り組んでいる。C) デコイレセプターカセット含有ベクター:感染蚊を用いたチャレンジ感染試験を行ったところ、カセットを持たない基本ベクターと同様、感染防御効果を確認することができた。液性免疫応答を解析したところ、抗PfCSP抗体価が高いマウスほど感染防御効果が高く、有意な相関関係を示すことができた。このウイルスの特徴として、免疫したマウスにおいて抗バキュロウイルス抗体価が低いという特徴があり、ベクターに対する免疫応答を回避しうると推測している。さらに機能解析を進める予定である。D) サイトカイン発現ベクター:IL-12 p40/p35 融合タンパクを発現するウイルスの作製に成功した。機能解析は今後の課題である。E) shRNA発現カセット:EGFPのノックダウンを目指したコントロール用のベクターを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラスミド構築、ワクチン作製、ELISA抗原作製と抗体価評価、感染蚊作製ならびにチャレンジ感染試験による評価系のそれぞれにおいて無駄を排除し、より効率的に実験プロトコルを遂行できるようになった。 各種ワクチンに関しては、当初の予定の8割ほどのウイルスベクターの作製ならびに機能解析を行うことができ、また一部のワクチンはチャレンジ感染試験による評価をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の予定に関しては、それまでに作製したウイルスベクターに加え、構築中のベクターを完成させ、それぞれ機能試験を行う予定である。標的免疫制御因子を発現し、機能的な違いが生じたウイルスベクターより、順次マウスに接種し、免疫応答が確認された群より遺伝子組み換えマラリア原虫を用いた感染実験を行う予定である。感染実験の結果、有効性が確認されたウイルスベクターに関しては、免疫ならびに感染試験を繰り返し、その効果を評価する。
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