2014 Fiscal Year Annual Research Report
マンソン住血吸虫感染は“赤外期”マラリア感染防御免疫を撹乱するか
Project/Area Number |
26860280
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
津田 愛美(井上愛美) 杏林大学, 医学部, 研究員 (40723060)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マラリア免疫 / 住血吸虫 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
寄生虫感染症が流行する地域では、住民は複数の寄生虫に感染している場合が多い。特にマラリアとマンソン住血吸虫の複合感染がアフリカや南米で報告され、栄養不良や就学率の低下、貧困の原因となっている。一方で、赤外期マラリア感染を予防する生ワクチンが開発中である。このワクチンはヒトの肝臓で免疫を誘導するが、マンソン住血吸虫感染では肝臓に虫卵が蓄積することにより肝障害やTh2型免疫応答が惹起され、生ワクチンによる防御免疫に多大な影響を及ぼす可能性がある。 本研究ではネズミマラリア原虫のPlasmodium yoelii 17X株のスポロゾイトを蚊の唾液腺から回収し、責が生き感染に対して効果を発揮する薬剤投与下でマウスに2回接種し、赤外期マラリア感染に対する感染防御免疫を賦与した。その後、マンソン住血吸虫セルカリアを経皮感染させ、感染7週目にマンソン住血吸虫感染をELISA法により確認した。感染確認後にP. yoelii スポロゾイトを感染させ、肝臓内のマラリア原虫の増殖を定量した。さらに感染48時間後から血液虫の原虫増殖について、薄層血液塗沫標本により測定した。 その結果、赤外期マラリア免疫を賦与した群では肝臓内原虫の増殖が未免疫群と比較して著しく減少し、感染48時間以降の赤内期原虫増殖も抑制された。一方で赤外期マラリア免疫を賦与した後にマンソン住血吸虫を感染させた群では、肝臓内原虫増殖が免疫群と同程度に抑制されたが、感染48時間以降に赤内期原虫の増殖が見られた。したがってマンソン住血吸虫感染により先に賦与した赤外期マラリア防御免疫が抑制されることが明らかになった。
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