2015 Fiscal Year Research-status Report
Vibrio alginolyticusのコラゲナーゼの産生誘導機構の解明
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26860290
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| Research Institution | Okayama University |
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Principal Investigator |
美間 健彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80596437)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ビブリオ / 二成分制御系 / sRNA / 発現調節 / コラゲナーゼ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、Vibrio alginolyticusのコラゲナーゼの産生がVarS/VarA二成分制御系によって制御されていることを明らかにした。他の細菌においてVarS/VarA系はsmall RNA（sRNA）の発現調節を介して下流の遺伝子の発現を制御していることが明らかとなっている。またそのsRNAは、AGGAやAGGGA配列を多数含むことが明らかとなっている。そこで染色体DNAのドラフト配列上でそれらの配列を多く含む領域を探索したところ、VarS/VarA制御系が調節するsRNA遺伝子と考えられるDNA領域が３つ（sRNA1、sRNA2、sRNA3）推定された。5’RACE法により、野生株においてそれら３つのsRNA遺伝子はいずれも転写されていることが明らかとなり、その転写開始点を決定した。sRNAのプロモーター領域とlacZ遺伝子との融合遺伝子を用いた解析の結果、３つのsRNA遺伝子の転写は、いずれもVarS/VarA制御系によって調節されていることが明らかとなった。ゲルシフト法を用いた解析の結果、VarAは３つのsRNAの推定VarA結合配列のいずれにも結合することが明らかとなった。以上の結果から、VarAは３つのsRNA遺伝子の上流領域に結合しそれらの転写を直接制御していると考えられた。
３つのsRNA遺伝子をそれぞれ欠失した変異株および２つまたは３つ全てを欠失させた一連の変異株を作製しコラゲナーゼの産生能を調べたところ、３つのsRNAはいずれもコラゲナーゼ産生に関与していることが明らかとなった。さらにsRNA2は他の２つのsRNAより強くコラゲナーゼの産生誘導に関与していることが明らかとなった。他の細菌において複数のsRNAを持つ場合、それらは冗長的に働くと考えられている。本研究の結果から、複数のsRNAがそれぞれ異なる機能を持つ可能性が示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、V. alginolyticusのコラゲナーゼ産生がVarS/VarA二成分制御系によって制御されていることを明らかにした。さらに本研究でV. alginolyticusは、VarS/VarA系によって制御されるsRNAを３つ持っており、それらの発現調節を介してコラゲナーゼの産生を制御していることを明らかにした。他の細菌においてもVarS/VarA系のホモログが制御するsRNA を複数持つことが明らかとなっているが、それらは冗長的に働くと報告されている。しかし本研究の結果から、V. alginolyticusの３つのsRNAのコラゲナーゼ発現調節への関与の度合いが異なっていることが明らかとなり、それぞれの機能が異なっている可能性が示唆された。これは複数のsRNAが非冗長的に機能するという初めての知見である。
他の細菌においてVarS/VarA系のシグナルは、クオラムセンシングのカスケードに入ると報告されている。そこでクロラムセンシングのマスター・レギュレーターであるHapRがコラゲナーゼの発現に関与しているか調べたところ、その関与が明らかとなった。この結果から、VarS/VarA系によるコラゲナーゼの発現調節がクオラムセンシング系を介して行われている可能性が示唆された。
以上の結果からVarS/VarA系によるコラゲナーゼの発現調節がより複雑な分子機構を介して行われていることが明らかとなり、その全容の解明に向けて研究が大きく展開している。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究によりV. alginolyticusのVarS/VarA二成分制御系は、３つのsRNAの発現制御を介してコラゲナーゼの産生を制御していることが明らかとなった。他の細菌においてVarS/VarA系のホモログが制御するsRNAは、RNA結合タンパク質CsrAを自身に結合することで、CsrAがmRNAの非翻訳領域に結合して翻訳を抑制しているタンパク質の脱抑制を引き起こすことが明らかとなっている。そこでV. alginolyticusのVarS/VarA系による３つのsRNAの発現調節を介したコラゲナーゼの産生調節も、CsrAを介して行われているのか明らかにする。そしてVarS/VarA系によるコラゲナーゼ発現調節機構の全容を明らかにする。
他の細菌においてもVarS/VarA系のホモログが制御するsRNA を複数もっていることが明らかとなっているが、それらは冗長的に働くと報告されている。しかし本研究の結果から、V. alginolyticusの３つのsRNAのコラゲナーゼ発現調節への関与の度合いが異なっていることが明らかとなり、それぞれの機能が異なっている可能性が示唆された。今後は３つのsRNAの発現調節を介したコラゲナーゼの発現調節の分子機構を明らかにするとともに、コラゲナーゼ発現調節への関与の度合いが異なる理由を明らかにする。
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| Causes of Carryover |
物品の購入が予定よりも安かったため、次年度の使用とした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究が当初の計画以上に進展しているため、自年度使用額を有効に利用して研究を展開する予定である。
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Research Products
(5 results)
