2015 Fiscal Year Research-status Report
効率的なマダニ体内伝播に係わるボレリア属細菌新規因子の同定
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26860291
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高野 愛 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (90700055)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マダニ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム配列を用いた比較解析により、回帰熱群ボレリア特異的と推定される遺伝子群合計94遺伝子について、Borrelia duttoniiのゲノム配列を元にリアルタイムPCRのプライマー設計を行い、1枚の96穴プレートで解析を行える系を立ち上げた。まず、Borrelia duttoniiのゲノムDNAを用いて遺伝子の有無を確認した所、78遺伝子について保有していることが確認された。これは、ゲノム株と比較し、当研究室に保管されていた株ではplasmidの欠損が起こっていたためであると考えられる。次に、培地中で増殖中のBorrelia duttoniiからRNA抽出を行い、逆転写反応により合成したDNAを用いて上記78遺伝子の発現を確認した所、いずれの遺伝子も発現が確認された。その上で、軟ダニであるOrnithodoros moubataに実験的にBorrelia duttoniiを接種し、数日後の体液と唾液腺をプールしたものからRNAを抽出し、逆転写反応により合成したDNAを元にリアルタイムPCRにて解析を行った。この際、参照遺伝子としてflaB遺伝子を用い、flaB遺伝子の発現量に対する相対値として候補遺伝子の発現量の比較を行った。 その結果、6遺伝子がマダニ体内において培地中と比較し、相対的に発現上昇していることが確認された。なお、上記実験は複数回行い、複数の実験にて発現が上昇していた遺伝子を候補とした。これら6遺伝子の内、少なくとも4遺伝子はin silico解析により、菌体膜上に出ていると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライフイベントのため、多少実験に遅れが出たが、わずかであり、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度抽出した6遺伝子について、絶対定量のためのコントロールplasmidの作成を行い、発現量の定量を行う。また、ライム病群ボレリアの一種であるBorrelia burgdorferi に候補遺伝子を導入する形質転換株の作成を行い、作成した株をOrnithodoros moubataに実験的に接種し、マダニ体内における菌の生存動態を解析する予定である。 さらに、マダニの全身感染に関連すると推察された遺伝子については、大腸菌を用いて組換体を作成し、これをマウスに免疫を行うことでモノクローナル抗体を作成し、菌体表面への発現を確認する予定である。
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