2016 Fiscal Year Annual Research Report
The exploration of borrelial factors which may be involved in efficient infection in tick
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26860291
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高野 愛 山口大学, 共同獣医学部, 准教授(テニュアトラック) (90700055)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボレリア菌 / マダニ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マダニ媒介性感染症病原体の一部が獲得した、効率的なマダニ体内伝播に関与すると考えられる因子の究明を目的として行ったものであり、マダニ媒介性病原体の1つである回帰熱群ボレリアに特異的に見いだされ、脱皮後マダニ全身に感染可能な形質に関与すると考えられるボレリア菌の複数遺伝子を同定した。 具体的には、回帰熱群ボレリアに特異的に見いだされる遺伝子群(約100程度)をコンピューターによるin silico解析により抽出した。これら遺伝子群について、未吸血マダニ体内に菌を接種し、数日後のマダニ体内生存中の菌と、培地発育中の菌を比較することで、発現が大きく変動している遺伝子を抽出した。 本研究により、計30個の遺伝子においてマダニ体内での発現上昇が認められた(独立3回の実験)。この内、21個はコンピューターによるin silico解析により、菌体膜上に出ていると推定された。このため、これら21遺伝子について、発現量の定量を行った所、全ての遺伝子で3倍から多いものでは100倍以上、培地中と比較しマダニ体内で発現が上昇していることが明らかとなった。 以上のことから、これら21個の遺伝子(群)がマダニ体内での回帰熱群ボレリアの生存に強く関与していることが示唆された。 本研究はこれまであまり注目されてこなかった、マダニによる病原体の維持・移行機構を分子レベルで解明する第一歩となることが期待される。マダニ媒介性病原体は、媒介種であるマダニにおける感染効率を高めることを生存戦略とし、進化をしてきたと考えられる。本研究によりマダニにおける効率的な病原体の維持・移行機構の一端が明らかになることで、将来的にはボレリアのみならず、その他のマダニ媒介性感染症病原体の生存戦略の解明につながり、ひいてはマダニ媒介性感染症の感染予防法の開発にもつながることが期待される。
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Research Products
(1 results)