2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26860292
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
飯笹 英一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (20631998)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 結核菌 / ITAM / 自然免疫 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、結核菌に対する感染防御において重要なITAM関連受容体(ITAMR)の同定と機能解析を目的としている。現時点までにその候補として、IgSFR2とIgSFR5の二つの受容体を同定し、機能解析を行ってきた。まずIgSFR5については、結核菌由来のリガンドが不明であったが、そのリガンドがリン脂質の一種、カルジオリピンであることを明らかにした。IgSFR2に関しては、既にリガンドを同定していたので、今年度は、その機能解析を重点的に行った。IgSFR2の結核菌由来のリガンドであるミコール酸(MA)とトレハロースジミコール酸(TDM)でマクロファージを刺激して、結核菌の殺菌に重要な一酸化窒素(NO)の産生を調べた。その結果、興味深いことに、TDMは、NOを産生するのに対し、MAはNOを産生しなかった。TDMは、主に別の受容体Mincleによって認識され、サイトカイン産生を誘導し、IgSFR2は、TDMを認識することによって、そのサイトカイン産生を負に制御することを昨年度までに明らかにしていたが、NO産生も同様にMincleを介して誘導され、IgSFR2が負に制御していることが分かった。さらに興味深いことにNOを産生しなかったMAは、逆にNOの産生を阻害するArginase Iの発現を誘導することを突き止めた。すなわち、IgSFR2は、MA、TDMを認識することにより、NOの産生を負に制御することがわかった。それを踏まえた上で、ウシ型結核菌BCGの感染実験をWT、IgSFR2 KOマウスで行ったところ、興味深いことに、IgSFR2 KOマウスでは、菌の排除が促進されることがわかった。すなわち、IgSFR2は、結核菌の排除に関わるサイトカイン産生やNOの産生を負に制御することで、結核菌の排除を抑制していることが明らかになった。
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