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2014 Fiscal Year Research-status Report

緑膿菌の腸管上皮細胞感知メカニズムの解析

Research Project

Project/Area Number 26860295
Research InstitutionKyoto Pharmaceutical University

Principal Investigator

林 直樹  京都薬科大学, 薬学部, 助教 (70707463)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords緑膿菌 / 上皮細胞 / トランスロケーション / 化学走化性 / べん毛 / 敗血症 / 腸管 / 感知
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、緑膿菌トランスロケーションの「緑膿菌の腸管上皮細胞感知メカニズム」にターゲットを絞り、2)緑膿菌の腸管上皮細胞感知に寄与する遺伝子群を明らかにすることと、1)緑膿菌が感知する腸管上皮細胞成分の同定を目指す。
申請時までに、ヒト結腸癌由来Caco-2細胞から回収した培養上清が、緑膿菌の増殖速度に影響を与えることなく、swarming培地上での菌体の運動性を大きくすることを見出した。平成26年度は、緑膿菌の腸管上皮細胞感知に寄与する遺伝子群を明らかにするために、Caco-2細胞培養上清により変化する緑膿菌の機能を調べた。緑膿菌が鞭毛運動とプロテアーゼによるムチン分解との少なくとも2つの機能を協力的に作用させることでムチン層を透過することを申請者は既に見出している(Hayashi N. et al. J. Infect. Chemother. 19:305-15)。緑膿菌によるムチン層透過に対するCaco-2細胞培養上清の影響を調べたところ、Caco-2細胞培養上清中の50KDa以下の物質が、緑膿菌のプロテアーゼの産生量に影響を与えることなく、ムチン層の透過性を亢進させることが分かった。これらのことから、Caco-2細胞から分泌された50KDa以下の物質を感知した緑膿菌は鞭毛運動を上昇させることでムチン層を透過し、上皮細胞表面に到達していることが示唆された。
次に、緑膿菌の鞭毛運動が亢進したメカニズムの手掛かりを得ることを目的に、Caco-2細胞モノレイヤ感染時の緑膿菌PAO1株のマイクロアレイデータを解析した。その結果、緑膿菌の鞭毛の構築ならびにモータータンパク質をコードする遺伝子の発現量に変動はみられなかったが、多くの代謝系やタンパク質分泌ならびに化学走化性に関する遺伝子の発現が変動することが分かった。今後、これら解析結果をもとに、緑膿菌の腸管上皮細胞の感知に関与する候補遺伝子の同定を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

緑膿菌が感知する培養上清成分の同定をswarming培地を用いて試みたが、培地の作成に大量のCaco-2細胞培養上清が必要であり、さらに培地上で培養後の緑膿菌の広がりが安定しなかったことから、当初の計画よりも解析が遅れた。この改善策として人工的ムチン層の実験系を用いた解析を進めており、こちらの結果は良好である。現在、50kDa以下のCaco-2細胞培養上清中の物質がペプチド結合をもつ物質であるか明らかにするために、プロテイナーゼKおよびトリプシンでそれぞれ処理後の50kDa以下のCaco-2細胞培養上清を緑膿菌PAO1株に作用後、人工的ムチン層の実験系を用いて解析している。また、DNase、RNase、およびグリコシダーゼを用いて同様に解析することで、緑膿菌の運動性を上昇させるCaco-2細胞培養上清中の物質の特徴を明らかにすることを目指している。その後、明らかにした特徴に応じて、この物質を単離および精製し、同定を目指す。
Caco-2細胞培養上清に対する緑膿菌の化学走化性を、GFP発現プラスミドを導入した緑膿菌PAO1株を用いたキャピラリーアッセイで調べたところ、Caco-2細胞培養上清に対する化学走化性は認められなかった。この理由として、Caco-2細胞培養上清中の活性化物質の濃度が低い、混在物であることが考えられた。今後は、人工的なムチン層透過実験を基軸に、緑膿菌の運動性を増加させるCaco-2細胞培養上清に含まれる物質を単離・同定後に緑膿菌のCaco-2細胞培養上清成分に対する化学走化性をキャピラリーアッセイや、より検出感度が高いマイクロデバイスを用いて調べる予定である。

Strategy for Future Research Activity

緑膿菌が感知する上皮細胞成分の単離・同定を前年度に引き続き行なうとともに、前年度に同定した緑膿菌の腸管上皮細胞の感知に関与する候補遺伝子群の役割を解析する。また、申請者は緑膿菌PAO1株のDNAマイクロアレイを用いた解析によって、Caco-2細胞存在下で発現量が変動する緑膿菌PAO1株の遺伝子群を既に同定している。今後、これら解析結果を複合的に考えることで緑膿菌の腸管上皮細胞の感知に関与する候補遺伝子の同定を目指す。これら解析により同定された遺伝子群の緑膿菌トランスロケーションへの寄与を、Caco-2細胞を含む種々の培養上皮細胞モノレイヤを用いたin vitro実験およびカイコ経口感染モデルを用いたin vivo実験によって検討する。これら実験に関して、申請者は実績がある(Hayashi N. et al. FEBS Lett. 2015. 589:890-6)。また申請者は蛍光顕微鏡による緑膿菌感染時の動画撮影(ライブセルイメージング)に取り組んでおり、その結果が良好であることから合わせて解析する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Pseudomonas aeruginosa injects type III effector ExoS into epithelial cells through the function of type IV pili.2015

    • Author(s)
      Hayashi, N., Nishizawa, H., Kitao, S., Deguchi, S., Nakamura, T., Fujimoto, A., Shikata, M., and Gotoh, N.
    • Journal Title

      FEBS lett.

      Volume: 589 Pages: 890-896

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2015.02.031

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 緑膿菌の上皮細胞層透過戦略2015

    • Author(s)
      林直樹、後藤直正
    • Organizer
      日本薬学会135年会
    • Place of Presentation
      兵庫
    • Year and Date
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [Presentation] 緑膿菌による上皮細胞層透過機構の解析2014

    • Author(s)
      林直樹、中村貴乃、藤本祥代、藤澤彰宏、古曽志まり子、森田眞由、後藤直正
    • Organizer
      第4回4大学連携研究フォーラム
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      2014-12-02
  • [Presentation] 緑膿菌の上皮細胞への走化シグナルの解析2014

    • Author(s)
      福西千晶、山本昌美、古曽志まり子、森田眞由、林直樹、後藤直正
    • Organizer
      第64回日本薬学会近畿支部総会・大会
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      2014-10-11
  • [Remarks] 京都薬科大学 微生物・感染制御分野

    • URL

      http://labo.kyoto-phu.ac.jp/bisei/

URL: 

Published: 2016-06-01  

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