2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルス感染モデルにおける多分子反応性B細胞選択機構の解明
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26860303
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榊原 修平 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10618838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自己反応性B細胞 / 持続性ウイルス感染 / 液性免疫応答 / 獲得免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者のこれまでの研究から、自己抗体産生を誘導するmurine gamma-herpesvirus 68 (MHV68)のマウスへの感染で、複数の抗原に反応する多分子反応性(polyreactive)B細胞が、胚中心を由来として誘導されることが明らかとなった。多分子反応性クローンの大半は、体細胞超変異(SHM)により自己反応性を獲得していたことから、MHV68感染では、積極的な多分子反応性クローンの選択を可能にする胚中心環境が存在すると予想される。本課題では、胚中心B細胞への抗原提示に焦点をあて、抗原の細胞内局在や感染細胞死を改変した組換えウイルスの感染などにおける胚中心B細胞のレパトア解析を通じ、MHV68感染をモデルとした、多分子反応性クローンの選択の機序を明らかにすることを目的に研究を行った。 申請者らは、single-cell Ig cloninigによる抗体 (B細胞レセプター[BCR]) 反応性解析を行い、以下の事項を明らかにした:①MHV68感染マウスの脾臓IgG+胚中心B細胞の約50%は自己反応性を呈した。しかも、MHV68粒子に反応性を有するクローンの約50%は自己反応性であった。②これら自己反応性クローンの約半分以上は、複数の抗原に反応する多分子反応性クローンであった。③多分子反応性クローンのうち、可変領域の体細胞超変異(SHM)によって自己反応性を獲得しているクローンが大半を占めた。④MHV68感染B細胞と非感染B細胞で、自己反応性クローンの出現頻度は同等であった。 以上の結果から、MHV68抗原反応性と自己反応性を併せ持つ多分子反応性クローンの出現は、予想に反し、感染でのウイルス遺伝子産物によるBCRシグナルの修飾などに起因するのではないと結論づけた。申請者は、前述したSHMに起因する自己反応性の獲得から、何らかの理由により、胚中心で多分子反応性B細胞が積極的に選択されていると考えた。
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