2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトパピローマウイルスの増殖期における相同組換えを利用したDNA複製機構の解明
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26860310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 理加(楠本理加) 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (90514133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HPV / DNA複製 / 子宮頸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス(HPV)のゲノムは環状二本鎖DNAである。ウイルスは上皮の基底細胞に侵入し、一過性にウイルスゲノムが増加する。そして、細胞の分裂とともに娘細胞に分配され、維持される。宿主細胞が分化を開始すると、ウイルスは増殖へとむかう。その過程で維持複製から増殖複製へと切り替わるとその効率は劇的に上昇する。増殖複製ではタンデムにつながったゲノムが検出される。この多量体DNAを1単位に切断する際、HPVは相同組換え反応を利用すると考えている。そこで、相同組換え因子の増殖複製での関与を調べた。そして、相同組換え因子Rad51がHPV増殖複製に関与することを示唆する結果を得た。16型HPVゲノムを維持する子宮頸部病変由来W12細胞より、Rad51をsiRNAによりノックダウンし、細胞をカルシウム添加により分化させた。細胞から環状DNAを抽出し、RT-PCRによりHPV DNAのコピー数を定量した。コピー数は未分化の細胞ではコントロールと同等であったが、分化細胞ではRad51ノックダウンにより、コントロールの37%に減少していた。このことは相同組換え反応が増殖複製に関与することを示唆している。 HPV増殖複製に必須なHPV E1 DNAヘリカーゼをSf9細胞で発現させ、精製した。また、HPV E1と結合し、E1のタンパク質安定性に関わるチェックポイント因子であるWee1をSf9細胞で発現させ、精製した。E1の発現が細胞の数多くのタンパク質量を変化させることを見いだしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学へ異動したことにより、各種安全講習の受講、資格の取得等に時間がかかり実験のスタートが遅れた。また。実験設備へ慣れるのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
他の相同組換え因子RAD52、RAD54などをノックダウンし、W12細胞分化後にHPVのコピー数が減少するか検討する。タンデムにつながったHPVゲノムを切断する活性を分化したW12細胞抽出液より検出する。また、HPV DNA複製因子であるHPV E1の発現により数多くの細胞タンパク質量が変化するという結果を得ているが、相同組換え因子の量の変化についても検討する。
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Causes of Carryover |
研究機関の異動により研究があまり進まなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
siRNAや細胞培養関連試薬などを購入する。
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Research Products
(1 results)