2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒトパピローマウイルスの増殖期における相同組換えを利用したDNA複製機構の解明
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26860310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 理加 (楠本理加) 名古屋大学, 環境医学研究所, 学振特別研究員(RPD) (90514133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パピローマウイルス / E1 / 複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス(HPV)のゲノムは環状二本鎖DNAである。ウイルスは上皮の基底細胞に侵入し、一過性にウイルスゲノムが増加する。そして、細胞の分裂とともに娘細胞に分配され、維持される。宿主細胞が分化を開始すると、ウイルスは増殖へとむかう。その過程で維持複製から増殖複製へと切り替わるとその効率は劇的に上昇する。HPV E1タンパク質はDNAヘリカーゼであり、増殖複製に必須である。これまでにWee1タンパク質をノックダウンするとE1タンパク質の量が減少すること、また、Wee1はE1と結合することを示した。これらのことから、Wee1はE1と結合し、安定化すると考えていた。しかし、2015年、マウスにおいてWee1をノックダウンすると、E1タンパク質のE3ユビキチンリガーゼであるAPC複合体が活性化するという報告があった。つまり、Wee1タンパク質のノックダウンによるE1タンパク質の減少に、APC複合体の活性化が寄与している可能性がある。そこで、Wee1に加えて、APC複合体のコアタンパク質であるCdc27をノックダウンしたところ、それでもE1タンパク質の量が減少した。このことから、APC複合体の活性化が寄与している割合は少ない、またはcdc27ノックダウンによりさらに未知のHPV E1のE3ユビキチンリガーゼが活性化されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出産による中断をしたため
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Strategy for Future Research Activity |
新たにHPV E1のE3ユビキチンリガーゼを検索する。 また、Wee1とE1の結合の意義を解明するため、Wee1とE1の結合部位を明らかにする。さらに、結合を欠質させたWee1変異体またはE1変異体をW12細胞で発現させ、HPV DNAの複製効率を測定する。
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Causes of Carryover |
出産により研究を中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、ユビキチンリガーゼの同定、タンパク質結合実験、変異体作成やリアルタイムPCRに必要な消耗品を購入する。
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