2015 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1 インテグラーゼのDNA二重鎖切断部位へのリクルート機構
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26860313
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
飯島 健太 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (20565626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA二重鎖切断 / Vpr / integrase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではHIV-1 インテグラーゼ(IN)のDNA二重鎖切断(DSB)部位へのリクルート機構とIN活性非依存的なDSB部位へのウィルスDNA挿入機構を明らかにすることを目的としている。 これまでの研究で申請者はMicro-irradiation(μ-IR)により誘導したDSB部位へのINの迅速なリクルートにはHIV-1 VprのDSB部位への集積が要求されること、およびVprとINが細胞内において相互作用することを明らかにしている。 INのDSB部位へのリクルート機構を明らかにするために、VprのDSB部位への集積を制御する因子の探索を試みた。はじめに、DSBシグナル伝達因子の阻害剤を用いてμ-IRのよるDSB部位へのVprの集積動態を解析したところ、VprのDSB部位への集積はATMなどのシグナル伝達経路には非依存的であったため、VprのDSB部位への集積はDSBシグナル伝達の起点となるDSBセンサー群に依存することが示唆された。このことから、DSBセンサータンパクの1つ(タンパクA)の欠損細胞にてVprのDSB部位への集積を解析すると、Vprの集積はタンパクA欠損細胞では観察されず、その相補細胞においては回復した。さらにタンパクAとVprのIn vitro、およびIn vivoでの結合性が確認されたことから、DSBセンサーであるタンパクAとの相互作用を介して、VprおよびINはDSB部位へと迅速に集積することが示唆された。一方で、タンパクAの酵素活性はVpr存在化では減弱することから、VprはウィルスDNA挿入の性状を修飾することが示唆される。 さらにタンパクAとVprの相互作用のウィルス学的意義を明らかにするために、HIV-1感染効率を測定すると、タンパクA 依存的に感染効率が顕著に低下したため、タンパクAは新規のHIV-1感染抑制因子であることが強く示唆された。
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