2014 Fiscal Year Research-status Report
感染時および自己免疫疾患におけるArid5aの生理学的機能の詳細な解明
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26860328
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 和哉 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 寄附研究部門助教 (70722544)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写後調節 / 自己免疫疾患 / インフルエンザ / 感染・炎症 / サイトカインストーム |
Outline of Annual Research Achievements |
Arid5a分子の免疫学分野における生物学的機能の役割を詳細に解明することを目的とし、実験を遂行した。以前の我々の報告により、Arid5aを欠損させたマウスでは、多発性硬化症モデルマウスであるEAEが顕著に抑制された。当初においては、マクロファージからのIL-6産生をその安定性の観点からArid5aが制御していることにより自己免疫疾患につながると考えられた。一方、今回の実験によりArid5aのT細胞における内在的な役割が自己免疫疾患に直接的に影響することが明らかとなった。Arid5aは、未分化なT細胞においてIL-6依存的に誘導され、Stat3 mRNAの安定化に寄与することでTH17細胞分化に寄与することが判明した。Stat3 mRNAの安定化には、Stat3 mRNAの3'非翻訳領域のステムループ様構造が重要であることがArid5aとRegnase-1の競合実験により明らかとなった。Regnase-1は、IL-6 mRNAのみならず、Stat3 mRNAをも制御しており、Arid5aはその機能を阻害した。このin vitroでの実験結果は、生体内におけるRegnase-1がTh17分化を抑制していることおよびArid5aがTh17細胞の分化を促進していることと一致している。このように、Arid5aは、マクロファージのみならず、T細胞においてもStat3 mRNAの安定化に寄与することでTH17分化を促進し、自己免疫疾患を誘導することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Arid5aのT細胞における役割をおおむね明らかにできた。T細胞においては、Arid5aはIL-6により初期段階で誘導され、Stat3 mRNAの安定化に関わることが示された。その結果、自己免疫疾患に重要なTh17細胞の分化に寄与し、その促進に関わった。また、マウスを用いたインフルエンザ実験において、感染実験の条件検討が終了し、野生型およびArid5a欠損マウスの生存率を比較することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでArid5aのマクロファージおよびT細胞における役割を明らかにしてきた。今後は、実験計画に従い、インフルエンザウイルスを用いたマウスにおけるサイトカインストームの発生機序についてArid5a分子に着目して詳しく解明する予定である。
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