2014 Fiscal Year Research-status Report
疾患マーカーの迅速・高感度・同時多項目測定法の開発:蛍光磁性ビーズによる実現
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26860364
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 俊行 信州大学, 医学部, 産学連携特任研究員 (30641576)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光磁性ビーズ / 疾患マーカー / 免疫測定 / 同時多項目測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、蛍光と磁性の両方の機能を有するナノサイズのビーズを利用することによって疾患マーカーを迅速かつ高感度に免疫測定する方法を開発してきた。本研究では、疾患診断における感度や特異度の更なる向上に向けて、種類の異なる蛍光色素を個別に封入した複数の蛍光磁性ビーズを開発し、それら複数の蛍光磁性ビーズを使った疾患マーカーの迅速・高感度・同時多項目測定の実現を目標としている。当該年度は以下の3項目について取り組んだ。 (1)種類の異なる蛍光色素を個別に封入した蛍光磁性ビーズの開発:磁性ビーズへの封入に適した蛍光色素としてストークスシフトが大きく極性が低いチオフェン骨格の分子を数種類選定した。封入実験の結果、いずれも10,000個以上もの分子が1個の磁性ビーズに封入できていることが確認できた。 (2)低分子疾患マーカーの免疫測定法の確立:低分子疾患マーカーを測定するために蛍光磁性ビーズを利用した競合測定法の検討を行った。抗原固定化蛍光磁性ビーズと抗体固相化プレートの組み合わせと、抗体固定化蛍光磁性ビーズと抗原固相化プレートの組み合わせを比較した結果、後者の組み合わせにおいて高感度測定の可能性が示唆された。 (3)蛍光磁性ビーズを利用した迅速・高感度・同時多項目測定の確立:上記で作製した異なる蛍光色素を封入した蛍光磁性ビーズ2種を利用して、サンドイッチ法による2項目の疾患マーカーの同時免疫測定を試みた。免疫反応の後、各々の蛍光磁性ビーズの蛍光波長に合わせた光学フィルタを通して蛍光強度を測定した結果、他方の疾患マーカーの存在によっても蛍光強度が高くなることが確認できた。この原因として、他方の蛍光磁性ビーズからの蛍光も光学フィルタを通して検出するクロストーク現象が生じたためと考えられ、予め算出した補正値によるクロストーク補正により正味の疾患マーカーの濃度を定量することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標である、(1)種類の異なる蛍光色素を個別に封入した蛍光磁性ビーズの開発、(2)低分子疾患マーカーの免疫測定法の基礎的検討、(3)蛍光磁性ビーズを利用した迅速・高感度・同時多項目測定の基礎的検討について研究を行い、ほぼ全てにおいて当初の目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
(2)低分子疾患マーカーの免疫測定法については、抗体固定化蛍光磁性ビーズと抗原固相化プレートの組み合わせによる競合測定法において迅速測定と高感度測定の両立を目指して改良を進めると共に、多項目測定に向けてサンドイッチ法と同等手順での測定可能性も模索する。(3)蛍光磁性ビーズを利用した迅速・高感度・同時多項目測定については、タンパク質疾患マーカーのサンドイッチ測定法と上記の低分子疾患マーカーの競合測定法の組み合わせでも同時多項目測定できることを確かめる。さらに確立した同時多項目測定法を用いて(4)検体からの複数の疾患マーカーの同時多項目測定が可能であることを確かめる。
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Causes of Carryover |
実験中の洗浄操作などのばらつきを抑えて安定して検討を進めるためにプレートウォッシャーを購入して実験を行う予定であったが、別途検討により磁石を用いて蛍光磁性ビーズを洗浄する方法での洗浄効果が得られため、プレートウォッシャー購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終目標である検体からの複数の疾患マーカーの同時多項目測定に向けて量が必要である蛍光色素や抗体などの消耗品の購入に充てる予定である。
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