2014 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎合併喘息の病態解明とAirway Medicine確立への第一歩
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26860377
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小林 良樹 関西医科大学, 医学部, 助教 (10375298)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ステロイド抵抗性 / 好酸球性副鼻腔炎 / 気管支喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、主に好酸球性副鼻腔炎合併喘息の疾患特異的パターンを見出すことを目的にサンプリングおよびサンプル解析を行った。ヒト気道上皮細胞として鼻粘膜擦過細胞から得られた初代培養細胞を用いた。また、サンプリングに同時に回収した鼻粘膜被覆液もサンプリングした。手術症例から鼻ポリープのサンプリングも行った。 初代培養細胞に関しては、至適培養条件下にて3~4週間培養した後、一部は後述のステロイド感受性テストに使用し、残りはRNA抽出、cDNA作成まで行い、後に各種サイトカインやホスファターゼのmRNAを測定する予定である。被覆液に関しては、Bio-Plexシステムを用いてTh1/Th2サイトカインやペリオスチン、IL-33などを測定した。ペリオスチン、IL-33そして好酸球遊走にも関与するケモカインが測定可能であることがわかったが、疾患群による相違は現段階では確認されていない。治療による影響も考えられ、同一症例における経時的な測定が必要である。また、サンプル採取の方法も改善の余地がある。 なお、平成27年度に実施予定としていた検討も一部行った。日常診療で応用可能なステロイド感受性予測マーカーとして、鼻粘膜擦過細胞を用いた系で検討した。鼻粘膜擦過細胞の初代培養細胞におけるステロイドの炎症性サイトカイン抑制能を測定した。健常コントロールと比較して、好酸球性副鼻腔炎症例においてステロイド感受性の低下を認め、合併する喘息重症度に応じて、さらに低下していた。これは従来の末梢血単核球を用いた系における結果と相関した。 さらに、気道上皮細胞株(BEAS-2B)を用いた系については、RNA干渉による目的遺伝子のノックダウンモデルおよびヒト分離好酸球との共培養モデルを確立することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト気道上皮細胞として、採取時の侵襲度の低い鼻粘膜擦過細胞を用いた系を選択したことが、遅れの原因となる。侵襲度が低いことがメリットであるが、一度に採取可能な細胞数が非常に少なく、3~4週培養し、増殖した初代培養細胞を用いて解析を行っている。時間がかかるだけでなく、採取時のコンタミネーションなどのトラブルもあり、予定通りにサンプリングできなかった。また、培養後もWestern Blot法に必要な細胞数を得ることが困難であるため、mRNAを中心とした解析にシフトしている。現在は、サンプル回収後にRNA抽出、cDNA作成のステップまで進め、保存している。
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Strategy for Future Research Activity |
気道上皮細胞の解析は遅れているが、鼻粘膜被覆液の解析はある程度進んでいる。被覆液中のサイトカイン測定の結果を基にターゲットとなるサイトカインを選定し、mRNAレベルでの解析を進めていく予定である。同時にiNOSやホスファターゼの発現レベルも確認していく。 気道上皮細胞株(BEAS-2B)を用いた系は、ある程度実験モデルを確立できているため、鼻粘膜上皮の解析が終わり次第、病態再現モデルを作成して行く予定である。
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Causes of Carryover |
おおよそ予定通り使用してきたが、若干の研究進行の遅れもあり、抗体やELISAキットなどの試薬の購入が遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCR関連試薬(プライマーやその他の試薬)に使用し、鼻粘膜上皮における解析を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)