2015 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球性副鼻腔炎合併喘息の病態解明とAirway Medicine確立への第一歩
Project/Area Number |
26860377
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小林 良樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (10375298)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / ステロイド抵抗性 / ホスファターゼ / 重症喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症局所に近い気道上皮におけるホスファターゼやiNOS、MIP-1betaのmRNA発現レベルを検討した。ホスファターゼは、ステロイド感受性の制御に関与することがわかってきたPP2AとPTP-RRに着目した。また、好酸球性気道炎症を反映する呼気中一酸化窒素の産生を調整するiNOSや好酸球の気道局所への浸潤に関与するMIP-1betaにも着目した。ヒト気道上皮細胞サンプルとして、初年度に集めた鼻粘膜擦過細胞から得られた初代培養細胞(3~4週培養)を用いた。PP2AとPTP-RRの発現量は、双方とも好酸球性副鼻腔炎では少なく、合併する喘息の重症度に応じてさらに低下していた。興味深いことに、これらのホスファターゼ発現量は正の相関関係を示した。さらに、同じ気道上皮細胞を用いて測定したステロイド感受性が、これらのホスファターゼ発現量とそれぞれ負の相関関係を示した。なお、iNOSとMIP-1betaの発現量は疾患群においても有意な差を認めなかった。すでに投与されていた十分量の局所ステロイド(吸入ステロイド薬の経鼻呼出や点鼻ステロイド薬)によって抑制されていたと推測できる。 一方で、気道上皮系培養細胞BEAS-2Bとヒト末梢血分離好酸球の共培養を用いた系で、好酸球の存在がBEAS-2BにおけるiNOS発現量を増加させること、PP2AとPTP-RR発現量を低下させることが確認された。 炎症局所と全身性のステロイド感受性が相関すること(初年度の研究成果)をふまえ、末梢血単核球およびヒト単球系培養細胞U937を用いて詳細な検討を行った。PTP-RRがPP2A活性を調整しつつ、PP2Aと共同してステロイド感受性を制御することがわかった。さらに、formoterolなどの長時間作動型気管支拡張剤がPP2AのみならずPTP-RRも活性させ、ステロイド抵抗性の改善に寄与する可能性が示唆された。
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