2014 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患の血液生化学的診断マーカーとしての血中キヌレニン酵素的測定法の開発
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26860379
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
藤垣 英嗣 広島国際大学, 保健医療学部, 講師 (00612631)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キヌレニン / トリプトファン代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプトファン代謝は精神・神経疾患などの病態に深く関与している。トリプトファンは生体内では代謝経路の一つであるキヌレニン経路により主に代謝され、種々の生理活性を持つ代謝産物が生成する。中間代謝産物であるキヌレニンの末梢血液中および脳脊髄液中濃度は、うつ病や統合失調症などの精神疾患において上昇することが明らかになっている。そのため、試料中キヌレニン濃度の測定は、精神疾患の生化学的診断マーカーとして有用であると考えられる。そこで、本研究はキヌレニンを代謝する組換え型酵素を精製し、酵素反応を利用した迅速で簡便な新規キヌレニン測定法を開発することを目的としている。本年度の研究では、キヌレニン代謝酵素であるキヌレニン3-モノオキシゲナーゼ(KMO)とキヌレニンアミノトランスフェラーゼ2(KAT2)の2種類の酵素を、バキュロウイルスと昆虫細胞を用いた蛋白発現系により発現・精製するために、ヒトKMOおよびKAT2のcDNAをクローニングしトランスファーベクターを作製した。また、トランスファーベクターを用いて大腸菌内で組換えを起こさせ、KMOおよびKAT2組換えバクミドDNAを作製した。現時点では、組換えバクミドDNAを昆虫細胞にトランスフェクションすることにより組換えバキュロウイルスを作製、さらに、昆虫細胞に感染させ、KMOおよびKAT2の最適な蛋白発現および精製の検討をしている。今後は大量培養による組換え型KMOおよびKAT2蛋白の発現・精製を行い、キヌレニンの酵素的測定法を確立し精神疾患の診断マーカーとしての有用性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の達成目標であった測定法の確立のためにはKMOおよびKAT2の組換え型蛋白が必要であるが、KAT2の組換えバキュロウイルスの作製に予定よりも時間を要したため、研究の達成度はやや遅れている状況である。現時点ではKMOおよびKAT2ともに組換えバキュロウイルスの作製に成功し、昆虫細胞の大量培養にもすでに着手しており、組換え型蛋白の大量精製を試みているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、KMOおよびKAT2の組換え酵素を精製後、それぞれの酵素反応を利用したキヌレニン測定法を確立する。確立した測定法を用いて健常者検体中のキヌレニンを測定、再現性や検出感度、従来法(HPLC法)との比較など基礎的な検討を行う。さらに、精神疾患の患者検体を用いて診断マーカーとしての有用性を検討する。
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Causes of Carryover |
費用の節約および実施する予定であった測定法の確立のために必要な生化学的試薬を数点購入しなかったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は研究が遅れている部分に充て、翌年度の研究費とともに生化学的試薬や細胞培養に必要な試薬・器具類などの消耗品に使用する予定である。
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