2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞からのかゆみ末梢神経誘導法の開発とその特性化
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26860386
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
梅原 芳恵 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (40707072)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 末梢かゆみ神経 / ヒトiPS細胞 / 難治性かゆみ |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の治療法では解決できない難治性のかゆみは、患者のQuality of Life(QOL)を著しく低下させる。特に、アトピー性皮膚炎(AD)患者は痛み刺激でかゆみが誘発されるなどの知覚異常があるため、掻破により病態が悪化する。従って、AD患者の知覚異常に基づく難治性かゆみを克服するには、ヒトの後根神経節(DRG)に存在する末梢かゆみ神経を病態生理学的に研究する必要がある。しかしながら、倫理上、ヒトからDRG細胞を採取し、研究材料にすることは困難である。そこで、本研究ではinduced pluripotent stem(iPS)細胞技術に着眼し、難治性かゆみの治療法の開発に向けて、『ヒトiPS細胞からの末梢かゆみ神経の誘導法の開発』と『AD患者iPS細胞由来の末梢かゆみ神経の特性化』を目指している。 ヒト末梢神経の誘導法は、ヒトiPS細胞からNeural crest(NC)細胞を誘導し、さらにそのiPS細胞由来のNC細胞(iPSC-derived NC細胞)から末梢神経を誘導する方法を検討した。これまでの方法では分化誘導の効率が低いため、iPSC-derived NC細胞をFACSにより単離し、濃縮する必要があった。しかし本研究の結果、非常に高い効率(8割以上)で iPSC-derived NC細胞を分化誘導することに成功した。その後FACSによる単離を行わずにiPSC-derived NC細胞から末梢神経への分化誘導を行うことで、ペリフェリン陽性のヒト末梢神経細胞を多数得ることができた。 本研究成果によりヒトDRG細胞の詳細な解析が可能となり、メカニズムが全く未知である「かゆみ過敏」に関与する因子の同定や、より効果的なかゆみの新規治療法の開発に貢献できると考えられる。
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