2014 Fiscal Year Research-status Report
表皮角化細胞における神経反発因子の産生機構の解明と新規止痒法の開発
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26860387
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
根木 治 順天堂大学, 医学部, 助教 (40648531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケラチノサイト / アトピー性皮膚炎 / かゆみ / 神経反発因子 / 発現調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存治療が無効な難治性の痒みは、患者のQOL(quality of life)を低下させる深刻な問題である。皮膚バリア機能の破綻を伴うアトピー性皮膚炎(AD)患者では表皮内神経線維が稠密化し、抗ヒスタミン薬が奏功しない難治性の痒みを発症する。バリア機能の破綻は神経線維の伸長と退縮に関わる分子の発現バランスを乱すが、その発現制御機構は全くの不明である。本研究では痒みの難治化の鍵となる神経反発因子に着眼し、表皮角化細胞における神経反発因子の発現制御機序を分子レベルで解明し、内在性の神経反発因子の発現を誘導するADの新規止痒薬の開発を目指して研究を行った。平成26年度は、神経反発因子の一種であるセマフォリン3A(Sema3A)のプロモーター領域をクローニングし、プロモーター活性に関与する転写因子の同定を試みた。siRNAならびに候補転写因子結合部位の部位特異的変異導入によるプロモーターアッセイの結果、レチノイド関連オーファン受容体α(RORα)がSema3Aの発現に関与する転写因子の一つであることが明らかとなった。RORα作動薬のコレステロール硫酸及びRORα/γ作動薬のSR1078を正常ヒト表皮角化細胞に添加すると、Sema3Aの発現をmRNA及びタンパクレベルで促進させることができた。一方、RORα逆作動薬を添加すると、Sema3A発現が抑制された。以上の結果から、RORα作動薬はSema3A発現促進剤として止痒薬に応用できる可能性がある。現在はAD病変部でSema3A発現が減少している理由を解明するため、さらに詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、神経線維の退縮に関わるSema3Aの発現調節に関わる転写因子の一部を明らかにした。ほぼ予定通りに研究は進行しており、現在、RORα作動薬に関する研究成果をまとめた論文がJ Dermatol Sciに掲載確定している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果を踏まえ、平成27年度は臨床応用に向けて、前年度までに構築したSema3Aプロモーターアッセイ系及び市販のSema3A ELISAキットを用いて、皮膚に内在するSema3A発現を制御可能な薬剤や天然化合物をスクリーニングする予定である。その後、ADモデル動物等を用いたin vivo実験を行い、薬剤の止痒効果を評価する。今年度は研究成果の論文化及び学会発表を目指している。
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Research Products
(2 results)