2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860408
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山本 めぐみ 広島国際大学, 保健医療学部, 助教 (50412333)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 冠動脈造影 / DSA / アーチファクト |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内において心疾患による死亡者数は2位であり、年々増加傾向にある。近年では心臓の血管を検査するために心臓CT検査が普及し始めているが、心臓CT検査では治療を行うことができない。冠動脈疾患の治療(IVR:Interventional Radiology)は冠動脈造影を行い、カテーテルの先端から血栓溶解剤を注入して血栓を溶かし、閉塞部の血流を再開させる治療や、バルーン療法、ステント挿入術も行い、血流の再開を図る方法も採られる。従って、治療の際には冠動脈造影が必須である。造影検査は、血管に造影剤を注入し、X線撮影を行う検査である。この時、血管だけを抽出するDSA(Digital Subtraction Angiography)法がある。これは造影剤注入後(ライブ画像)と注入前(マスク画像)を引き算することにより、骨や臓器の部分を消して血管だけを画像にする方法である。しかし、心臓領域では肋骨や心臓の拍動、横隔膜の動きが激しいため、造影剤注入前後の血管以外の構造物の位置にズレが生じ、動きによるアーチファクトが発生し診断の妨げとなる。従って現在では、心臓領域の造影検査である冠動脈造影に対してはDSA法が適応されていない。もしDSAが使用可能となれば、狭窄部の細く淡い血管のコントラストを増強し、ステント挿入後に開通した小動脈を鮮明に描出された画像を得ることができる。また、造影剤には副作用がある。よって、濃度の薄い造影剤を使用できれば、患者の身体的負担が大幅に軽減する。そこで本研究では冠動脈造影において狭窄部の細く淡い血管造影のコントラストを増強し、ステント挿入後に開通した小動脈を鮮明に描出することができるDSA法を開発することを目的とした。2014年度はアーチファクトの減弱及び狭窄部の細く淡い血管の強調が困難である例の原因及び部位の特徴を解析した。それをもとにDSA法の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部マスク画像に細い血管が含まれているため、コントラストの増強が困難となっている。 これらは、造影剤注入前(マスク画像)と注入後(フレーム画像)を引き算する際のマスク画像作成過程に問題があることがわかっている。これをもとに、さらにアーチファクトを取り除き、狭窄部の細く淡い血管の強調ができるよう改良及び発展させた。加えて、これらの問題を改善するため、人工的にフレーム画像に合った造影前の血管の写っていない構造物のみのマスク画像を作成するにあたり、機械学習を使用した。機械学習の中でも一番認識性能の優れた学習法の一つであるサポートベクターマシン(Support vector machine:SVM)を使用し、血管と血管以外の構造の分離を試みた。このSVMのパラメータ設定と特徴量項目の決定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度はサポートベクターマシン(Support vector machine:SVM)を使用して、血管とその他の構造の分離を試みた。2015年度はこのSVMのパラメータ設定と特徴量項目の決定を引き続き行う。また、別の機械学習(Deep Learningなど)も試みる。また、本研究を適応した結果の画像に対し、主観評価及び客観評価を行う。主観評価は医師及び診療放射線技師を対象とし、従来法のDSAで作成した冠動脈造影画像と、本手法を用いたDSA法で作成した冠動脈造影画像を見せアーチファクトの量を比較し、5段階評価を行う。 本研究は複雑な計算が多く、コンピュータへの計算負荷が非常に大きいため、このままでの計算法では画像表示するまでに比較的長い時間が必要となる。臨床現場では検査・治療時にリアルタイムで結果を求められるため、コンピュータの計算処理速度を向上させ、画像表示までの時間をほぼリアルタイムにする必要がある。計算処理速度を向上させるため2015年度と2016年度にかけて臨床適応を目指した処理の高速化を行う。高速化には遺伝子解析や気象予測、暗号解読などの大規模な計算でしばしば用いられる分散処理を導入することを検討している。これを用いることで、DSA作成の複雑な処理を複数に分割し、同時並行して処理することが可能となり、計算処理時間を大幅に短縮する。
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Causes of Carryover |
研究成果報告を国内・国外で行う予定であったが、研究の予定がやや遅れているため、次年度度に報告を行うことにした。また、機械学習の使用および高速化を行うにあたり高速演算装置の購入を次年度に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年度の研究成果報告を2015年度に国際会議で2回(採択済み)、国内1回予定している。また、2014年度計画していた機械学習の使用および分散処理による高速化のために高速演算装置の購入を行う。これらに次年度使用額を使用する計画である。
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