2015 Fiscal Year Research-status Report
小児期の健康状態が成人期の健康に及ぼす影響に関する研究
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26860422
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
桑原 絵里加 東邦大学, 医学部, 有期助教 (80713164)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ライフコース疫学 / 小児 / 体格 / 血液検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人における疾病リスクについて明らかにすることを目的として立ち上げられたライフコース疫学研究である。研究の対象地区である長野県南佐久地方の小中学校では、一般的な学校健診における評価項目に加え、血液検査・血圧検査・生活習慣に関するアンケート調査を行っている。特に血液検査や血圧検査は1978年からの蓄積があり、非常に貴重な日本人小児のデータである。このデータを記述疫学的に解析し、過去には小中学生のBody Mass Index(BMI)や総コレステロール値、血圧値が以前より高くなっていることや、学童期の急峻なBMI増加はベースラインのBMIに関わらず思春期の血圧に関連することを報告してきた。 本年度は、こうした小児期の体格変化が、成人になってからの健康アウトカムと関連するかについて明らかにすべく、本対象集団が成人後に受診した健診データと連結することにより、小児期と成人期の健康状態の関連性について疫学的手法を用いて検討するリンケージ研究を行った。これらのデータから、小児期のBMIの変化と脂質の値の推移、小児期のBMIの変化と成人後の血圧の関係、思春期と成人後のHbA1cの関係について解析し、どれも関連が示唆される結果であった。とくに、前年度に学会発表した小児期のBMI変化と成人後の尿酸値の関係についてはさらなる解析の後、論文化を終え、英文誌に投稿中である。これらの結果については、協力自治体へ還元していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3つの目的は、学校健診受診者の結果とその成長後の成人健診結果より、1.小児期の健康指標の特性について検討すること、2.学校健診と成人健診結果の連結により、小児期の状態と成人後の健康アウトカムにおける関連の検討、3.小児期の生活習慣に対する効果的な介入方法の検討である。 特に、前者の二つに関しては、前年度に引き続き検討する項目を広げて脂質や糖代謝に関しても検討を行い、小児期の健康指標が、血圧のみならず同時期の代謝関連項目に影響することが示唆された。これらの成果のうち、小児期のBMI変化と成人後の尿酸値の関係については論文化を行い、現在英文誌に投稿中である。また、目的の3の介入方法の検討については今後着手する方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、小児期の体格変化が、成人になってからの健康アウトカムと関連するかについて明らかにすべく、小児期と成人期のデータリンケージにより研究を行った。なかでも、小児期の体格変化が成人後の尿酸値と関連することを明らかにできた。 今後は、この成果を、協力自治体や参加協力者へ還元する作業が残されている。また、本研究成果に基づいた自治体の施策実現に向け、提言を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、病院健診機関と2つの自治体の協力のもとに、健診結果を連結して行う研究である。研究結果を自治体・協力病院へ還元したり、論文化した成果を海外発信したりするための英文校正費確保のため、費用を来年度に残すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由につき、最終報告のための旅費、英文論文の校正費用に充てる予定である。
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