2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体応答の早期イベントに注目したナノマテリアルによるアレルギー増悪機構の解明
Project/Area Number |
26860438
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 晶子 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20454324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノマテリアル / アレルギー / 気管支喘息 / 気道上皮細胞 / 免疫担当細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノマテリアルは、100 nm以下の極微小な粒子状や構造体を有する物質であり、化粧品、家電製品、電子機器、塗料・インク等、身近な生活用品にもしばしば使用されるようになり、一般環境における皮膚や呼吸を介した曝露機会の増加が危惧されている。ナノマテリアルは、その粒径から、呼吸により気管支や肺に沈着した後、容易に体内へ侵入し、呼吸器系や免疫系、特にアレルギー性呼吸器疾患に影響を及ぼす可能性が示唆されている。一方、アレルギー疾患患者は、ナノマテリアルのような環境汚染物質の影響を受けやすい高感受性・脆弱性集団とも考えられており、早急なナノマテリアルによるアレルギー増悪機構の解明が求められている。 本研究計画では、ナノマテリアルを対象とし、経気道的に侵入する環境汚染物質と呼吸器の最初の接点である気道上皮細胞と、生体・免疫応答の上流に位置する免疫担当細胞(抗原提示細胞、各種T細胞、NH細胞など)、および、それらの相互作用に注目した。また、ナノマテリアルによるアレルギー性気管支喘息増悪機構を、生体・免疫応答の早期イベントに焦点を当てて解明することを目的とした。 ナノマテリアルが、気道上皮細胞のサイトカイン産生に及ぼす影響、抗原提示細胞、抗原提示細胞とT細胞の相互作用に及ぼす影響を試みた。その結果、ナノマテリアルは、気道上皮細胞に対しては、細胞障害性を、抗原提示細胞に対しては、異物取り込みや抗原提示に関わる分子の発現を誘導した。従って、ある種のナノマテリアルは、気道障害や抗原提示細胞の活性化を介して、アレルギーの悪化に関与しうる可能性が示唆された。
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