2015 Fiscal Year Research-status Report
豚が保有するクロストリジウム・ディフィシル(C・D)とヒトC・D症の関係解明
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26860441
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
臼井 優 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (60639540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Clostridium difficile / 子豚 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの調査おいて日本の子豚からも比較的高率にリボタイプ078が分離されたことを発見した。日本は海外から種豚を輸入していることから、海外からリボタイプ078が侵入した可能性がある。そこで分離したリボタイプ078株と海外の豚及びヒトで分離されたリボタイプ078についてMLVA(multiple-locus variable-number tandem repeat analysis)法及びトキシン配列周辺遺伝子解析を行い日本の分離株と海外の分離株の比較を行った。12農場の1~21日齢の子豚糞便(120検体)から分離された12株のリボタイプ078を用いた。比較対象としてBakkerらの報告による欧州の豚由来リボタイプ078 56株、ヒト由来株102株を用いた。MLVA法は、6つの遺伝子(B7Cd, C6Cd, E7Cd, F3Cd, G8Cd, H9Cd)の配列解析を行い、配列情報をもとにBionumericsによる解析を行った。加えて、トキシノタイピング及びトキシンA,B遺伝子のレプレッサーであるtcdCの配列解析を行った。結果、日本の豚から分離されたリボタイプ078は欧州のヒト及び豚から分離されたリボタイプ078とMLVA型が類似していた。これまで、欧州で分離されたリボタイプ078はトキシノタイプVに分類され、トキシンA,Bを過剰産生するtcdCの欠損が認められている。日本で分離された豚分離株も、全てトキシノタイプVであり、tcdCに欧州の株と同じ欠損が認められた。以上の結果より、日本におけるリボタイプ078は海外からの種豚の輸入またはヒトの移動により侵入したことが示唆された。今後、日本のヒトにおけるリボタイプ078の出現に注意するとともに、ヒトへの伝播ルートにおける豚の役割を明らかにすることが必要である。 また、豚肉からのC. difficileの分離も試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、分離したClostridium difficileについて遺伝子解析により、海外からの伝播の可能性が高いことを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果により子豚の重要性が明らかになった。子豚からヒトへの伝播ルートとしては堆肥を介したルートも想定される。そこで、堆肥を汚染しているClostridium difficileについての研究を進めることを計画している。
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Causes of Carryover |
分離菌株がそれほど増えなかったために菌株の解析に使用する金額がそれほど大きくならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプル数を増やし、分離菌株を増やすことでデータの信ぴょう性を高めることを計画している。
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Research Products
(2 results)