2016 Fiscal Year Research-status Report
海産食品中有機ヒ素の代謝における化学形態変化の解明
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26860442
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
畑 明寿 千葉科学大学, 危機管理学部, 講師 (10433690)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海産食品 / 有機ヒ素化合物 / 化学形態別分析別 / 消化液 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
海産食品はヒ素含有量が比較的多いことから健康リスク評価が求められている。ヒ素の毒性はその化学形態により大きく異なるため、化学形態別の評価が必要となる。海産食品に含まれるヒ素化合物は、ヒジキなどの例外を除いては有機ヒ素化合物がその大半を占め、アルセノベタイン(AsBe)やアルセノ糖(AsSug)、アルセノ脂質(AsLipid)などの有機ヒ素化合物が多く含まれている。AsBeは体内で代謝されず、国際がん研究機関の発がん性分類ではグループ3(発がん性を分類できない)と評価されていているが、AsSugとAsLipidについては評価されていない。AsSugやAsLipidを摂取した場合、代謝されジメチルアルシン酸(DMA)などの化学形態となり排泄されるが、この経路や代謝中間体については未だ不明な点がある。このような背景のもと、本研究はAsSug及びAsLipidの代謝経路に関する知見をin vitro実験から得ることを目的として計画した。被験食品には、複数種のAsSug及びAsLipidを含む市販のワカメを用いた。 昨年度に引き続き、模擬消化液とヒト腸内細菌による模擬的消化管環境においてワカメからのヒ素溶出試験を実施した。ワカメから溶出したヒ素化合物の化学形態をHPLC-ICP-MS及びHPLC-TOF-MSを用いて分析した結果、元来ワカメに含まれていたAsSugに加え新規AsSugと複数の未同定ヒ素化合物が検出されたが、AsLipidとDMAは認められなかった。そこで、ワカメから抽出したAsLipidを含む溶液を試料とし同様の試験を行った結果、腸内細菌添加後にAsLipidの化学形態変化がみられた。代謝物については未同定であるが、DMAは検出されなかった。次年度は肝臓の薬物代謝酵素の影響についても検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒ素化合物の分析に使用するICP-MSが故障した影響により実験計画にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に予定していた実験計画を実施する。腸内細菌及び肝臓の薬物代謝酵素によるAsSugとAsLipidの代謝について検討を進める。
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Causes of Carryover |
平成28年9月から約3ヶ月間、ヒ素化合物の分析に使用するICP-MSが故障した影響により実験計画に若干の遅れが出たため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施予定であった計画を行う。予算は主に、ICP-MS分析に必要なアルゴンガスと消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)