2015 Fiscal Year Research-status Report
鉛が発達過程の神経系に及ぼす影響とその性差に関する研究
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26860444
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大森 由紀 順天堂大学, 医学部, 技術員(博士研究員) (30415971)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉛 / 神経毒性 / アストロサイト / D-セリン / カルシウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、低濃度鉛曝露による中枢および末梢神経細胞への神経毒性機序を解明することを目的としている。
平成26年度は、ラット由来の海馬アストロサイトを用いて鉛曝露によるカルシウムイオン応答への影響を検討した。酢酸鉛を細胞の生存数に変化のなかった濃度 0、0.5、1、2.5、10、50 および 100 μMとなるように培地に添加して1日曝露させ、蛍光顕微鏡にて高濃度 KCl刺激による強制的脱分極後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化を観察した。その結果、鉛濃度 2.5 μM以上では濃度依存的にカルシウムイオン応答が低下する傾向が確認され、応答の速度がコントロールと比べて遅くなる傾向が見られた。
平成27年度は、平成26年度の再現性を確認し神経伝達物質であるD-セリンの測定を検討した。D、L-セリンの分離測定において様々な方法を検討した結果、当該大学で本研究における定量性と感度を得られる測定はできなかった。そのため企業へ依頼し、測定の基礎検討を行っている。 今後は、D-セリンを含めた遊離アミノ酸の濃度など細胞を用いた機序解析とラットを用いた生体内における検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
D、L-セリンの分離測定を行うため、先行研究を参考に既存の機器で試みた。しかし、納得のいく定量感度は得られなかった。 さらに順天堂大学にある研究基盤センターの分析専門部署に相談し検討した。ここでも残念ながら既存の機器ではできなかった。 この分離測定の検討に時間を要したため計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
D、L-セリンの分離測定は、高額な機器を購入するか測定を行っている業者に依頼するかである。予算を考えて、業者に依頼することとした。 しかし、業者においても測定検体のマトリクスやサンプル量による測定への影響を検討する必要があるため基礎検討を行い測定を進める。
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Causes of Carryover |
D,L-セリンの分離測定の検討に時間がかかり当初の計画より遅れているため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
D,L-セリンの測定費用に使用する予定である。また、研究の遅れを取り戻すため最適な人材がいれば研究補助のアルバイトを雇用予定である。
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