2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26860456
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 裕一 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30625562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療政策 / 公共政策 / 医療情報 / ICT / IT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、主として日本における1.医療の情報化分野に対する政策や制度に関する調査、2.医療情報システムの導入状況(導入率や導入施設の実数等)の調査および3.医療情報システムの導入に影響を及ぼすと考えられる要因の検討ならびに4.上記1から3について日本と米国の比較検討等を行った。 1から3については、日本の公的機関が公表している資料および統計等を利用して調査を行った。「日本再興戦略」改訂2015において掲げられた「地域医療情報連携ネットワーク/電子カルテの普及促進」を実現するために行われている施策の概要、平成26年までの医療情報システムの導入率の推移等を総合的に検討した。 4については、申請者が前年度までに行ってきた米国における医療情報システムの導入政策等に関する研究成果と合わせて日本との比較検討を行った。その結果、米国と比較して日本では医療者側が利用する機能(CPOE等)が比較的充実している一方で、患者側に利する機能(患者への情報提供や電子処方箋等の施設間での連携)が比較的弱い点が明らかになった。医療のIT化には多額の資金が必要であるが、もしこれを公費の一部によって賄うならば、その費用を一部負担する納税者に何らかの形で利益を還元することが必要不可欠であると申請者は考える。米国の医療情報政策の達成目標には患者側に利する機能の実装の促進が掲げられているが、これは公的資金を利用した医療情報の電子化を進めるにあたって国民に理解を促すためのひとつの政策モデルを提示しているといえるだろう。 本研究で得られた知見は、今後日本が医療情報政策を進めるにあたり参考に資するものである。
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