2016 Fiscal Year Research-status Report
両親媒性物質との複合体化を利用した新規殺菌消毒薬の開発
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26860459
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
桐山 和可子 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (30714878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子複合体 / 殺菌消毒 / 両親媒性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度までに作製した分子複合体であるCATB/o-cresolについて、芽胞状態の枯草菌での殺菌効果の検討を行なった。CTAB, o-cresol, CTAB/o-cresol分子複合体をそれぞれ10^-2 M ~ 10^-5 Mの濃度範囲で10分間適用した。またコントロールには滅菌水を用い、コントロールにより得られた生菌数を100%としてそれぞれの生菌率を比較した。その結果、10^-3 M以下の濃度ではCTAB/o-cresol分子複合体の殺菌効果はCTAB, o-cresol単体と比較して10~20%高いことが明らかとなった。 昨年度まではカチオン性界面活性剤(CTAB, MTAB, LTAB)を用いた分子複合体の大腸菌に対する殺菌作用の検討を行なってきたが、cmc付近での殺菌効果が非常に高いことから殺菌効果を測定することが困難であった。そのため平成27年度は、比較的殺菌作用が低いとされているアニオン性界面活性剤としてSDSを用い、またゲストとして2,5-dimethylphenolを用いた分子複合体を作製しその殺菌効果の検討を行なった。SDS, 2,5-dimethylphenol, SDS/2,5-dimethulphenol分子複合体について、10^-2 M ~ 10^-5 Mの濃度範囲で5分間適用した。またコントロールには滅菌水を用い、コントロールにより得られた生菌数を100%としてそれぞれの生菌率を比較した。その結果、10^-3 MにおいてSDSでの生菌率がコントロールの20%、2,5-dimethylphenolが98%、SDS/2.5-dimethylphenol分子複合体が0%となり、SDSのcmc (8.2 mM)付近での分子複合体の殺菌作用が単体の殺菌作用を上回ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、カチオン性界面活性剤を用いた分子複合体の殺菌効果について検討する予定であったが、高い殺菌効果を持つことからcmc濃度前後での効果検討が困難であった。また、乾燥状態の菌に対して、粉末状態の分子複合体を用いた殺菌効果の検討を行なったが、バラツキが大きく安定した結果が得られなかった。そのため、新たに殺菌効果の低いアニオン性界面活性剤を用いた分子複合体を作製し、効果検討を行なうこととした。そのため、使用するアニオン性界面活性剤とゲスト分子の選択、分子複合体の作製に時間を要し遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
アニオン性界面活性剤を用いた分子複合体、カチオン性界面活性剤を用いた複合体それぞれの、大腸菌、芽胞状態の枯草菌に対する殺菌効果の持続性の検討、静菌効果の検討を当初の計画に基づき行なう。同時にクレゾールの類似構造をもつグアヤコール、オイゲノールとの分子複合体の作製とその効果検討も当初の計画のように行なう。 また、作製した分子複合体について、皮膚三次元モデルを用いた刺激性試験を当初の計画に基づき行なう予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定からの遅れ、計画の変更があり、購入予定であった試薬、三次元皮膚モデル、MTTアッセイキット等の購入を行なわなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シャーレ等のプラスチック製品、試薬(グアヤコール、オイゲノール等)、粉末培地、皮膚三次元モデル、MTTアッセイキット等を購入する予定である。
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