2015 Fiscal Year Research-status Report
法医実務応用を目指したフェノバルビタール中毒時における薬物動態解析
Project/Area Number |
26860463
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
池村 真弓 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30515490)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Phenobarbital / 薬物中毒 / トキシコキネティクス / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物動態解析は、血中濃度より各種薬物動態パラメータを用いて、薬物投与量や投与経過時間の算出が可能であり、薬物中毒死事例においても適用できれば、死因判断のみならず死亡時の状況推定に有用な情報となり得る。しかしながら中毒時における薬物動態の詳細は未だ不明であり薬物動態パラメータの検討はなされていない。 本研究は死亡事例の多いPhenobarbital中毒をモデルとし、ラットを用いて中毒時におけるPhenobarbitalおよび代謝物の薬物動態を明らかにし、法医実務に応用可能な薬物動態パラメータを算出することを目的とし、本年度はラットを用いて、Phenobarbital中毒時の薬物動態パラメータの算出を行った。具体的には、右頚静脈にカニュレーション処置を施したラットに自由行動下にてPhenobarbitalを50mg/kg(治療量投与モデル)または200mg/kg(中毒量投与モデル)を経口投与または静脈投与し、経時的採血の後、臓器(大脳、中脳、小脳、延髄、心臓、肺臓、肝臓、腎臓、大腿部筋肉、脂肪組織)を摘出した。採取した各試料は液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LCMSMS)(3200QTRAP; AB Sciex, 現有)にてPhenobarbital濃度を定量し、薬物の半減期、分布容積、クリアランス、吸収および消失速度定数等、各種薬物動態パラメータを算出した。その結果、中毒量投与時において、静脈投与では消失相の遅延が認められないものの、経口投与では消失相の2相性および消失遅延を示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年7月より平成27年3月まで産前産後にともなう休業および育児休業を取得し、その間の研究が中断したため、当初計画より遅れている。現在、研究は軌道に乗り、順調に進んでいるため、今後研究の遅れを取り戻すための推進化を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き、動物実験データを積み重ね、中毒時の薬物動態パラメータを治療量投与時パラメータから算出可能であるかどうかを検討する。その一方で、投薬前、治療量投薬後および中毒量投与後のラットの肝ミクロソーム中CYP1AおよびCYP3A発現量をLCMSMSにて定量し、またin vivoテストステロン6β水酸化(CYP3A)およびフェナセチンO-脱エチル化(CYP1A)の活性測定を行って、代謝能評価を行う。 また、計画が遅延しているため、適宜、研究室配属学生に実験の分担をさせ、今後計画している長期連用および薬剤併用時における薬物動態パラメータの算出に関する実験は前倒して同時に実施するなどし、中毒時における薬物動態変動の全体像を明らかにした上で、これらの変動要因を明らかにするための薬物代謝能評価実験を行うことも検討する。さらに、本研究期間を通して、Phenobarbital関与が疑われる法医解剖および検死例の薬物濃度定量を実施し、本研究成果が実務に応用可能であるか検討を重ねる。
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Causes of Carryover |
平成26年7月より平成27年3月まで産前産後にともなう休業および育児休業を取得し、その間の研究中断があり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、当初の研究計画の遅れに従って、随時物品費等、適切に使用する。場合によっては研究の推進化のために、研究協力者を増員し、その人件費に充てることも検討する。
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