2014 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪性肝炎における肝臓類洞内皮細胞の超微細構造変化に関する研究
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26860465
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮尾 昌 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90711466)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法医病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態進展における類洞内皮の構造変化とこれに関与する形態学的ならびに機能的関与因子を解明することで、類洞内皮細胞傷害の抑制がNASHの病態進展を抑制できるかを明らかにすることを目的としている。平成26年度は、以下の3つを明らかにした。 ①NASHにおける肝臓類洞内皮の超微細構造変化の解明:長期間投与によりNASHを引き起こすコリン欠乏食(CDAA)、または高脂肪食(HFD)投与後にマウス肝臓を摘出し組織標本を作製する。電子顕微鏡検査を行うことで類洞内皮の超微細構造変化を明らかにした。この類洞内皮の超微細構造変化は、CDAA、HFD投与早期である単純性脂肪肝の状態で既に発現しており、慢性期には増悪していることが分かった。 ②類洞内皮傷害への形態学的関与因子の検索:同時期のマウスから得られた肝臓を用いて特殊染色や免疫染色を行い、類洞内皮細胞傷害の病態進展に関与する形態学的な因子を明らかにした。結果、線維化、脂肪沈着、類洞内皮傷害が起こっていることが確認できた。 ③類洞内皮傷害への機能的関与因子の検索:同じく、同時期の肝臓組織と血液、尿を用いて、炎症関連分子のタンパク質やmRNAの定量、さらに生化学検査、脂質代謝検査を行うことで類洞内皮細胞傷害に関与する炎症・線維化関連分子などの機能的因子を明らかにした。結果、形態学的変化が起こるより以前に、類洞内皮傷害、炎症や線維化関連遺伝子のmRNAの上昇が起きていた。さらに、肥満、インスリン抵抗性、脂質異常症なども確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年に計画していた、NASH病態早期および進展期の変化をみるために、コリン欠乏食(CDAA)および高脂肪食(HFD)を用い検索を行った。これらの特殊飼料を与えた場合、どのタイミングが病態早期あるいは進展期なのかが最も難しい問題となるが、予備実験を行い、タイミングの決定がスムーズに進んだ。また、血清検査や電子顕微鏡のための標本作製の際、再現性の低さで違いが出たのか本当の病的変化で違いが出たのかが問題とあるが、同じく予備実験を行うことで、ほぼ同一の条件で実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、類洞内皮傷害がNASH病態の進展と相関することが示された。 今後はこの類洞内皮傷害そのものがNASH進展に促進的に働くのか、それともNASH進展に対して二次的に発現しているだけなのかを明らかにする。 そのために、コリン欠乏食(CDAA)あるいは高脂肪食(HFD)を与えたマウスに対して、血管の分化に影響を与えうる薬剤を投与し、病態進展が促進や抑制されるのか、あるいは変化がみられないかを検証する。
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Research Products
(2 results)